「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」策定について(令和5年3月16日)
泉大津市では、平時の仕組みが有事の際にも活かすことができるよう市独自のサプライチェーン構築をめざす「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」を策定しました。全国の農山村地域の自治体と連携し、現地の農家やJAと「顔の見える関係性」を作りながら安全なお米を安定的に確保できるよう取り組むとともに、確保したお米の活用として、令和5年度から給食への提供などさまざまな支援をスタートします。
【構想策定に至った背景・趣旨】
日本の食料自給率(カロリーベース)は38%(令和3年度)であり、食料の約6割を輸入に依存している現状に加え、都市部に位置する本市は、農地が極めて少なく(農地面積約34ha(農地面積率2.4%))、食料価格の高騰、世界的な凶作や輸入の途絶等の不測の事態が生じ、食料を入手しにくい状況が発生した場合、本市単独で市民の食料を確保し、安定的に供給をするのは困難な状況にあることから、食料問題の深刻化を危惧しているところです。
一方で、日本の農業の課題として、農山村地域の農業従事者の減少、高齢化、休耕地の増加などがあげられており、農業生産基盤がぜい弱化している状況に加え、近年、食の安全・安心への意識は高まりから、減農薬での農作物の生産や有機農業などの環境保全型農業の推進が求められているが、その安定した販路の確保の難しさがあげられているところです。
こうした背景のもと、本市では、『安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想』を策定し、日本人の主食であり、栄養価やカロリー貢献度が高い米(食糧)の安定的な確保を最優先に捉え、農地が少ない本市においても「安定的な食糧確保」ができるよう、生産地との共存共栄の関係性を作りながら、生産者側にとっても農業経営の安定化に繋がる形の食糧サプライチェーン構築を目指し、令和5年度から取組みをスタートさせます。
また、構想においては、一般的な認知が進む医食同源の考え方のもと、給食等で提供する米に関して、「生産(化学農薬や化学肥料の低減又は有機農業)」・「加工(玄米の栄養価を多く残した精米技術)」などの各工程において、自治体、生産者、事業者、関係団体等と連携・協働しながら、市民への「安全・安心な食の提供」を推進し、市民の健康を支える取組みも併せて実施します。
構想のポイント
独自のサプライチェーンの構築
生産者から消費者までの間に多数の仲介事業者が介在する従来型のサプライチェーンでは、間接費用による金銭的なコストが多くかかるため、結果として生産者(農家)の収入向上につながらないという構造的な課題があると考えています。
市が連携する地域から直接お米を購入することで、複雑な米の流通(卸売)経路を合理化し、顔が見える関係を築きながら生産者と消費者の結びつきを強めるとともに、本市が安定した消費地となることで、生産者の収入の安定化や持続可能な農業の発展による共存共栄の関係を構築します。
平時における安全・安心な食の提供
一般的な認知が進む医食同源の考え方のもと、給食等で提供する米に関して、「生産(化学農薬や化学肥料の低減又は有機農業)」面での市民への「安全・安心な食の提供」を推進と、「加工(玄米の栄養価を多く残した精米技術)」面においても、一般的な白米と比較して栄養素が多く残る手法を用いるなど、各工程において、自治体、生産者、事業者、関係団体等と連携・協働しながら安全・安心、かつ質の高い、より良い給食の提供を実施します。
構想に基づいた主な取組み
安全・安心なお米を市費購入し給食提供します(4月~)
オーガニック米や特別栽培米などの質の高いお米(玄米)を市と連携する農山 村地域から安定的な価格で直接購入し、栄養価をより多く残せる精米加工を実施した上で、未就学施設や小中学校の給食へ提供します。
マタニティ応援プロジェクトのスタート(4月~)
民間企業との連携により、多くの栄養素を含んだお米で妊婦の健康づくりを支援します。
市長のコメント
食糧危機が深刻化していることに非常に強い危機感を持っている。また、人間は何をどう食べるかで健康にも不健康にもなる。このような考えから泉大津市では、医食同源の理念のもと食育に力を注ぐとともに、食糧の安定確保に向けて、官民連携により全庁を挙げて取り組んでいます。
今回策定した本構想のもと、市民への安全安心な食糧の安定的な確保と食による健康増進の取組みを両立するとともに、都市部における農業の持続的発展及び農村への貢献と振興、食料自給率の改善を実現する新たなモデル構築を図っていきたい。
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更新日:2023年08月01日