即位礼正殿の儀に伴う慶祝事業(令和元年10月8日)
重要文化財の特別公開について
趣 旨
天皇の御即位を記念して、泉大津市が所蔵する重要文化財「白地松鶴亀草花文繍箔肩裾小袖」を8年ぶりに特別公開する。この小袖は、日本最古の童子用小袖で、めでたい瑞祥文様が繍箔で表現された桃山時代の貴重なものである。
内 容
10月22日に挙行される即位礼正殿の儀を記念して、重要文化財「白地松鶴亀草花文繍箔肩裾小袖」(泉大津市所蔵)を特別公開する。
この小袖は、背裏に天正11(1583)年の銘があり、丈が短いことから童子用のものと考えられている。肩部の前後と、前裾部に繍箔(刺繍と金銀箔を併用)の技法で文様を描いている。
文様は動植物をちりばめたもので、片身は松・竹・梅・橘・鶴・亀を組み合わせ吉祥でめでたい文様、もう片身は春と秋の季節の花が配された季節が混在した意匠で、片身ごとにデザインを変える構成となっている。このようなデザイン構成は四季を重視した室町時代と、すべてが混在する江戸時代までの過渡期である桃山時代の特徴といえる。
本小袖が本市に寄贈されることとなったのは運命的な偶然によるものである。「織編館」が繊維と織物の博物館として開館を準備している時期、「先代のコレクションを処分していたら、きれいな着物に大正と書かれていた。古いものかもしれないので見てほしい」と当時の織編館準備室に連絡があり、職員が確認した。すると、「大正」ではなく「天正」(16世紀)と書かれていることに気づき、非常に驚いた。その後、調査をすすめると、その重要性が明らかとなったので、すぐさま国の重要文化財に指定されることとなったというエピソードがある。本市が繊維と織物の博物館の設置を準備していなければ、永遠に失われていたかもしれず、数奇な運命のめぐり合わせで繊維・織物のまち泉大津市に保管されている。
天皇が皇太子の頃に、京都で展示中の本品をご覧いただいた縁もあることから、御即位の記念にふさわしいものとして、特別公開を決めた。
【特別公開の日程】
日時
令和元年10月21日(月曜日)・22日(火曜日・祝日) 午前10時から午後4時
場所
泉大津市立織編館 泉大津市旭町22-45 テクスピア大阪1階
入場無料
【用語解説】
小袖:現在の「きもの」の原型といえるもので、袖口が狭く、詰まった仕立てになっていることから、この名称となった。平安中期ごろに、庶民では日常着として、公家階級などでは下着として用いられていたが、室町時代頃に上着として用いられるようになった。
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更新日:2023年08月01日