ビジョントレーニングについて
近年、障がいに対する研究が進む中、子どもたちの学習における課題のひとつに、「視機能における課題」があることが分かりました。
その課題解決のひとつとして、「ビジョントレーニング」という手法が提案されるようになりました。
ビジョントレーニングは、子どもの注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)、読み書き障害(ディスクレシア)など発達に課題がみられる子どもたちの改善・克服などに活用され、取り組まれている発達支援の実践プログラムです。視空間認知能力を高め、動体視力や判断力などの身体能力の向上もできるため、アスリートやプロスポーツ選手のトレーニングにも用いられています。
課題を抱える子どもたちの背景要因は多岐にわたりますが、視機能における課題を解決することで、運動面や学習面での課題解決に効果的なアプローチとなることが期待されます。
泉大津市では、ビジョントレーニングの有効性を学び、指導に活かしてもらうため、教職員を対象に研修をおこなっています。
令和2年度から特別支援コーディネーターなどの教職員を対象に全8回の研修を実施し、24人が一定のビジョントレーニングのスキル・知識を身に着けたとして、一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会より「就学前・小・中学校トレーナー」の認定を受けています。
ビジョントレーニングの実践について
ビジョントレーニングの研修を受けた先生が、通級指導教室等で子どもたちの課題を改善するためにビジョントレーニングの実践に取り組んでいます。
実践を一緒に頑張ってくれている子どもたちには、
○漢字や図形が捉えられない ○書字が乱れてしまう ○板書が遅い
○落ち着きがなく集中力がない ○姿勢が保てない ○ケガが多い
○折り合いがつけられずトラブルになりやすい ○感情のコントロールが苦手
○自己表出が少ない 等、それぞれの課題があります。
それらの課題に合わせ、眼球トレーニングを基本として、体を動かして刺激を与えたり、緊張をほぐしたり、聞きたい音と周りの雑音を聞き分けられるように聴覚のトレーニングをしたりなど、様々な実践に取り組んでいます。
トランポリンやお手玉等、「遊んでいるだけ」に見えるようなトレーニングですが、「何のために取り組んでいるか」を先生方が理解して実践することで、子どもたちの課題への確かなアプローチとなっています。
実践の成果として、
「より目ができるようになってきた」「文字がマスの中に収まるように書けるようになった」
「時間内に板書ができることが増えた」「自信がついてきて、苦手なことにも積極的に取り組む姿が見られた」
「お友だちとのトラブルが減った」「笑顔が増えて、もっと続けたいと意欲的だった」
などがあげられています。
楽しいトレーニングということもあり、子どもたちが保護者に「こんなことしたよ!」と話すことも多いそうで、保護者の方も一緒に成長を感じてくださっているとのことです。
実践してくださってい先生からも、
「子どもたちが楽しいと取り組めるように、私たちが勉強して準備しないといけないと思った」
「継続することで成果が徐々に見えてきた。このまま続けていきたい」
「子どもたちが大喜びで取り組んでくれる。そういった工夫を考えるのも楽しい」
「眼球運動ができるかどうかを見ることが、子どもたちの課題に気づくきっかけにもなる」
「新しいトレーニングを教えてもらい、大変勉強になった。それぞれの児童の実態に合わせて実践していきたい」
といった感想があり、先生方の意識の醸成も大きな成果だと考えています。
課題が改善した理由は「ビジョントレーニング」だけでなく、先生が他の実践に取り組んでいたり、子どもたち自身の日々の成長など、複合的な要因があると思いますが、「ビジョントレーニング」は子どもたちの課題への効果的なアプローチの1つであると考えています。
令和4年度
第1回特別支援コーディネーター研修 ビジョントレーニング研修 実践先生報告会
令和2年度・3年度におこなった全8回の「特別支援コーディネーター研修 ビジョントレーニング研修」の後、希望された先生方を「ビジョントレーニング実践先生」とし、令和3年度から令和4年度にかけて、学びをアウトプットする実践先生研修をおこなってきました。
研修内容は、実践先生のもとに講師を派遣し、実際に子どもへのビジョントレーニングの実践を通してビジョントレーニング、そして子どもたちの課題への理解を深めるものです。
今回は、実践先生研修を通して得た学びや感じた効果等を報告する「特別支援コーディネーター研修 ビジョントレーニング研修 実践先生報告会」をおこないました。
日程:令和4年9月14日(水曜日)
会場:教育支援センター
講師:一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者:就学前・小・中学校 教職員 32名
報告者:令和4年度ビジョントレーニング実践先生 5名(通級指導教室担当)
研修に参加した先生からは、
・ビジョントレーニングを楽しく取り入れることで子どもの「できる」ことが増え、自信につながることがよく分かりました。
・一人ひとり課題が違うなか、どのトレーニングが有効か分かることは、とても心強いと思いました。
・ゴムや鈴、クリアファイルとシールなど身近なものを使ってビジョントレーニングができることを知れてとても実践してみたくなりました。
・実践方法やトレーニングの内容も、支援学級担任で勉強し、自立活動に取り入れていきたいと感じました。
・様々な刺激を与える方法として、トランポリンをしながら輪投げをするなど、楽しそうな実践も多々あり、たくさんのヒントを得ることができました。教員が工夫することで楽しく子どもが学べる環境を作れるように頑張りたいと思いました。
など、たくさんの前向きな感想がありました。
令和3年度
ビジョントレーニングは注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)、読み書き障害(ディクレクシア)など、発達に課題が見られる子どもたちの課題解決のひとつとして活用されています。
令和2年度・3年度は、子どもへのアプローチのひとつとして、また、学校全体に広まる一歩となればと考え、就学前(幼稚園・保育所・認定こども園)、小学校、中学校の特別支援コーディネーターの教職員を対象に、全8回分のビジョントレーニング研修を行いました。
第1回 特別支援コーディネーター研修(第3回ビジョントレーニング研修)
日程 : 令和3年6月2日
会場 : 条南小学校 体育館
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 就学前・小・中 教職員 特別支援コーディネーター等 29名
感覚統合や触覚について学びました。
第2回 特別支援コーディネーター研修(第4回ビジョントレーニング研修)
日程 : 令和3年6月30日
会場 : 教育支援センター
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 就学前・小・中 教職員 特別支援コーディネーター等 28名
前庭感覚(平衡感覚)について学びました。
第3回 特別支援コーディネーター研修(第5・6回ビジョントレーニング研修)
日程 : 令和3年7月29日
会場 : 教育支援センター
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 就学前・小・中 教職員 特別支援コーディネーター等 30名
固有受容覚や原始反射について学びました。
豆つかみやお手玉を使ったトレーニングも体験しました。
第4回 特別支援コーディネーター研修(第7回ビジョントレーニング研修)
日程 : 令和3年8月24日
会場 : ZOOMにて
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 就学前・小・中 教職員 特別支援コーディネーター等
いろいろな原始反射について学び、感覚統合のトレーニングを教えていただきました。
実際に子どもたちの様子を動画で見て、理解を深めました。
第5回 特別支援コーディネーター研修(第8回ビジョントレーニング研修)
日程 : 令和3年10月28日
会場 : 旭小学校 多目的室にて
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 就学前・小・中 教職員 特別支援コーディネーター等 27名
ビジョントレーニング研修全8回の最終回でした。
改めて、目の使い方のチェック方法や基礎トレーニングについて教えていただきました。
教育現場で実践している先生方も、自分の実践方法と照らし合わせながら、改めて学びました。
穴師小学校 ビジョントレーニング研修
日程 : 令和4年1月11日
会場 : 穴師小学校
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 穴師小学校教職員
全8回のビジョントレーニング研修を受けていた先生からの発信で、穴師小学校の校内研修でビジョントレーニング研修が行われました。
今年度の5月には戎小学校でも校内研修としてビジョントレーニング研修が行われました。
通級教室や支援学級をはじめとして、全ての先生にビジョントレーニングが広まり、困り感が軽減する子どもたちが少しでも増えると嬉しいです。
特別支援コーディネーター WAVES(ウェーブス)研修
日程 : 令和4年1月19日
会場 : 泉大津市教育支援センター
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 小・中学校 特別支援コーディネーター 9名
WAVES(ウェーブス)とは、「視知覚・目と手の協応・眼球運動」の視覚関連スキルを10種類の検査で把握・評価して、見る力の弱い部分を見つけ出し、ドリルによって弱点の改善を行っていく教材です。小学1年生~6年生を対象にした検査で、50分ほどかけて検査を行います。
今回の研修では、ウェーブスの検査上の注意点や、検査結果の読み取り方を学びました。検査結果の読み取りを実際に行い、その児童の得意なことは何か、どこに困り感があるかなどを考えました。結果だけではなく、検査時の児童の様子や前回検査したときからの変化などを評価することが大切とのことでした。
令和2年度
第1回 特別支援コーディネーター研修(第1回ビジョントレーニング研修)
日程 : 令和2年10月21日
会場 : 教育支援センター
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 就学前・小・中 教職員 特別支援コーディネーター等 27名
目の発達の仕組みや視覚認知について学びました。
第2回 特別支援コーディネーター研修(第2回ビジョントレーニング研修)
日程 :令和2年11月11日
会場 : 教育支援センター
講師 : 一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田氏 久保田氏
参加者 : 就学前・小・中 教職員 特別支援コーディーネーター等 28名
視空間認知や眼球運動実践法について学びました。
令和元年度
第1回 小中学校教員(支援教育関係)研修
日程:令和元年12月11日
会場:職員会館3階 集会室
講師:一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田 氏 久保田 氏 吉田 氏
参加者:小中学校教職員 41名 (支援教育に関わる教職員)
内容: ・講師の自己紹介
・ビジョントレーニングとは
・「見る力」とは? ~「視力」と「視覚」の違い~
・「見る力」が弱くて、子どもが困ること
・「視る力」を鍛えること ・ビジョントレーニング体験
・トレーニング方法の紹介
参加者感想: ・自分のクラスの生徒、自分の姪ともトレーニングをしたいと思いました。
・通級では、ほとんどの児童に取り入れていますが、改めて勉強になりました。
・とても楽しい研修をありがとうございました。明日から実践したいと思います。
・様々なトレーニング方法を新たに知ることができたので良かったです。
・通級の先生にいろいろ聞いてクラスで試してみてたのですが、今日やったことも取り入れていこうと思いました。
・とても学びが多かったです。実践で効果を感じることができたので、ぜひ子どもたちと一緒にトレーニングしていきたいです。
・初めてビジョントレーニングを知り、非常に関心を持ちました。
第2回 体育担当、部活動顧問教員、社会体育団体関係者 研修
日程:令和2年1月22日
会場:市役所3階 大会議室
講師:一般社団法人 日本ビジョントレーニング普及協会 横田 氏 久保田 氏 吉田 氏
参加者:体育担当教員 部活動顧問教員 社会体育団体関係者等 31名
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更新日:2023年08月01日