デジタル企画展 織毛布のデザイン展
令和2年9月19日から10月28日まで開催した織編館企画展「織毛布デザイン展」をHP上で紹介します。
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1.毛布伝来
江戸時代の終わりに200年以上続いた鎖国が終わると、様々なものが西洋から輸入されるようになりました。毛布もその中の一つで、一般の人々の間で赤色の毛布が流行しました。輸入された毛布は高級品であったため、国産で安価な製品を作ろうと、泉大津では1886年(明治19)頃から毛布の生産が始まります。
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「川口居留地を描いた錦絵」(桃山学院史料室所蔵) 鎖国が終わり、現在の大阪市西区川口に外国人居留地が設置されました。外国との窓口となったこの場所には、多くの舶来品が行きかいました。錦絵の中に赤色の毛布「赤ゲット」を外套として羽織っている姿が見えます。
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「赤ゲット」 当時流行した赤色の毛布(赤ゲット)。輸入品は羊毛で作られていましたが、国産の毛布は比較的手に入りやすい牛の毛で作られていました。
2.技術革新 織技術の発展
より複雑な模様のある毛布を作りたいと考えた小川平助と前山重治郎は、京都今出川通の倉田留吉から2機のジャカード装置を購入しました。これにより、複雑な模様を織り出すことができるようになりました。
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「大正時代頃に使用された三丁杼変換装置付木製手織機(左)」(織編館所蔵)と「大正時代の毛布の復元(右)」 ジャカード装置が導入されたことで、様々な紋様の毛布がつくられました。雷紋は大正時代頃に多く作られた紋様の一つです。
1950年(昭和25)頃の織毛布
3.産業と芸術
大正時代になると羊毛が多く輸入されるようになり、国産の羊毛毛布が生産されるようになります。 1951年(昭和26)の統計調査によると、泉大津市内に451軒の織物工場があり、生産高は112億円に達しています。愛知県一宮市と並ぶ機業都市でした。
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戦前の毛布工場の様子
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紋紙図案競技会 1956年(昭和31)から泉大津市内でデザイナーの腕を競う「紋紙図案競技会」が行われるようになり、毛布のデザインについての関心が高まりました。
4. 織毛布のデザイン
織毛布のデザインは各工場に所属するデザイナー達が行います。デザイナーは、工場独自のデザインを描こうと切磋琢磨しながら日々5枚、10枚と描いていきました。 植物をモチーフにしたデザイン、幾何学模様のデザインが多く描かれました。また、総柄の動物のデザインや絵画のようなデザインは、輸出用の毛布のデザインとして人気がありました。
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植物柄のデザイン
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幾何学模様のデザイン
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動物柄・絵画のような総柄(全面柄)のデザイン
5.デザインから製品へ
デザイナーによって描かれたデザインは、職人の手によって方眼紙の上でドット図に変換され、設計図ができあがります。この設計図を元にパンチカードが作成され、美しいデザインの織毛布が製織されるのです。
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1.デザイナーがデザイン画を描く。 2.細かい方眼紙に紋紙を作成する元となる設計図を作る。 3.設計図を元に紋紙を作成する。 4.製品の完成
6.おわりに
明治時代に泉大津で毛布の生産が始まって約130年が経ちます。その間に泉大津での毛布産業は大きく発展しました。その発展には江戸時代から続く織物業を土台として、毛布産業に携わる方々の、よりよいものを作り出そうという不断の努力があったからにほかなりません。 このような毛布産業を支えた先人たちの歩みを1人でも多くの皆様に知っていただければ幸いです。
パンフ 企画展「織毛布デザイン展」 (PDFファイル: 16.4MB)
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織編館
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更新日:2023年11月21日