所信表明 (令和7年2月25日)
南出賢一市長の3期目にあたっての所信表明を以下に掲載します。
なお、最下部からPDFファイルでダウンロードすることができます。
所信表明
令和7年泉大津市議会第1回定例会の貴重なお時間をいただき、市長3期目にあたっての所信表明並びに令和7年度の市政運営の基本方針を申し述べる機会をいただきましたことに対し、感謝を申し上げますとともに、議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
昨年12月の選挙で市民の皆様の信任を得て市長3期目を担わせていただくこととなりました。
市長就任1期目では、「元氣な泉大津をつくる」ため、平成30年の台風21号や新型コロナウイルス感染症への対応などこれまで経験したことのないような脅威に直面する中にあっても、山積する課題の解決に向けて将来を見据えた「種まき」をして参りました。そして、2期目には、「みんなの力で泉大津を前に!」進め、Library of the Yearを受賞した「図書館シープラ」や国土交通大臣賞を受賞した「シーパスパーク」、高度急性期・急性期を備えた総合病院「泉大津急性期メディカルセンター」のオープンに加え、食料の安定的確保に向けた「自治体間農業連携」、あしゆびプロジェクトやマタニティ応援プロジェクトをはじめとする本市独自の「健康施策の推進」など1期目に種まきをしてきた様々な取組が、ハード面・ソフト面ともに大きく花開き、実を結びました。
また、財政面におきましては、駐車場事業特別会計を清算、土地開発公社を清算、ふるさと納税や市税収入を増加させるなどの取組を進めてきました。基金は約36億円から約99億円へと残高を積み上げ、地方債残高を約640億円から約554億円に減らすことができましたが、依然厳しい財政状況です。
3期目は、途上の課題を解決し、市民の皆様と約束した「安心感をもって暮らすことができるまちづくり」をさらに推進するべく全身全霊・粉骨砕身、取り組んでいく所存です。
さて、昨年は、能登半島地震、復興中の奥能登を襲った豪雨をはじめとする大規模災害が頻発しました。また、日向灘を震源とする宮崎県南部で地震が発生したことに伴い、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が初めて出されました。そうした中、本市においては、11月に大防災訓練を実施し、全避難所同時開設訓練、参加体験型イベントなどを通じて課題を抽出し市民の方々と共有することで、災害に備える意識の高揚を図りました。
さらに、昨年夏に起こったコメ不足、いわゆる「令和の米騒動」やそれ以降コメの価格高騰が続く中、政府はこれまで大凶作や連続する不作、災害などによる緊急事態などに限られていた政府備蓄米の放出について、円滑な流通に支障が生じる場合、政府が買い戻す条件付きで集荷業者に売り渡す方針を打ち出しました。しかしながら、コメ不足や価格高騰については未だ先行不透明な状況です。
本市ではいち早くこうした有事を想定し、令和5年3月に策定した「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」に基づき農山村地域を持つ自治体と連携協定を締結し、独自のサプライチェーンを構築することで、学校や就学前施設の給食に安定的にお米を供給するとともに、9月に開催した「IZUMIOTSU WELL-BEING EXPO 2024」においては連携自治体の協力のもと市場価格より安価でお米を提供することができました。
市民生活に大きな影響を及ぼす様々な出来事が起こる中においても市民の皆様が安心して暮らせるよう取組を進めてきたところです。
令和7年度は、これまで創り上げてきた様々な取組を、この予測不能な時代においても、その流れを的確に予測しながらさらに発展・進化させ、今後もさらに市民の皆様の暮らしの中に一つでも多くの笑顔が生まれるよう、一歩でも前に進めていきたいと考えています。
大阪・関西地域では、万博の開幕が迫り少しずつ盛り上がりを見せる一方で、国内情勢・国際情勢は大きく変化することが予想されています。
歴史的な選挙イヤーとなった2024年、結果としては民主主義国を中心に総じて政権与党が議席を減らす、又は政権交代が起こるなどの結果となりました。
我が国では、昨年10月の衆議院選挙で政権与党が15年ぶりに過半数割れとなる中、アメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲き、2025年の世界経済はその政策動向に大きく左右されることが予想されています。
折しも中国経済も長引く不動産不況に苦しんでおり、世界経済全体の不確実性が高まっています。
加えて、国内における「2025年問題」として、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることにより、人口の5人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎え、労働人口の不足や医療体制のひっ迫、医療費や介護費の増加などの社会保障費の増大が懸念されています。
さらに、経済産業省がDXレポートで発表した「2025年の崖」による巨大な経済損失を回避するためにも、組織の意識改革や業務改革、DX人材の育成・確保も急務となっています。
これまでも、「何が起こるかわからない、何が起こってもおかしくない時代である」という認識を前提に、「未来のあたり前づくり」を進めてきましたが、課題が尽きることはなく道半ばです。
今後においても、時代の流れを的確に読み、効果的な施策を適切なタイミングで打ち出し、皆様と力を合わせてこれから迎える難局を乗り越えてまいります。
令和7年度の主な取組について
それでは、令和7年度の主要事業を、新たに策定しました「第5次泉大津市総合計画」(#おづの未来計画)の基本計画に掲げます7つの基本目標に沿ってご説明いたします。
1点目「みんなが互いに繋がり、理解し、共感しあうことで新たな刺激が生まれるまち」についてでございます。
本市では、令和6年9月21・22日にシーパスパークにて「IZUMIOTSU WELL-BEING EXPO 2024」を開催し、「大阪・関西万博」の理念である「いのち輝く 未来社会のデザイン」の実現や機運醸成に取り組むとともに、「暮らしの中に1つでも多くの笑顔が生まれる未来社会」を共に考え、一緒に創り上げてきました。
本年は、「大阪・関西万博」の会場において、「IZUMIOTSU WELL-BEING EXPO 2025」として、これまで本市が「官民連携」「市民共創」で取り組んできた、全国共通の社会課題を解決する先導的な「未来のモデルづくり」を披露し、「TEAM EXPOパビリオン」においても、国内外に発信することで、本市のブランディングを高め、また、泉大津市内においても、「大阪・関西万博」の理念や目的の実現に資するイベント「泉大津まちなか万博」を開催することで、本市の活性化や魅力向上を図るとともに、万博後のBeyond Expo 2025を見据えた本市のさらなる発展に向けた新たな連携の創出や関係人口・交流人口の拡大につなげます。
また、「大阪・関西万博」を契機として、市民の皆様と力を合わせ、緑あふれるまちとして、植樹などにより本市の緑化を推進します。
さらに、市民公益活動団体への支援として、「泉大津市がんばろう基金」を活用した、「がんばる市民公益活動応援補助金」の充実に向けて補助内容を拡充するとともに、多様化する地域課題への解決に向けて、地域団体が連携・協力できる新たな小学校区でのまちづくり協議会の設立に係る支援に取り組みます。
加えて、市の組織における女性活躍に向けた取組を引き続き実施するとともに、誰もが尊重され、個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向け、市民の意識醸成や多様な視点を反映した行政施策を推進します。
2点目「主体的に学び、生涯にわたって学びの環境を自由に選ぶことで成長し続けるまち」についてでございます。
はじめに、自分自身が受けた泉大津市の教育を自分のこどもにも受けさせたいと思える教育施策の展開を共通認識とし、「学力向上プラン」について、学力調査などの「問題・結果」分析に基づく授業づくりをより深化させるとともに、リーディングスキルの視点に基づく授業づくりをさらに実践的な指導方法として、中学生のリーディングスキルテストを活用するなど具体的に取り組みます。
また、不登校対策の1つとして、学校には登校できるが教室に入ることが難しい児童生徒のための校内教育支援ルームについて、全小中学校で開設し、誰一人取り残されない学びの保障に向けた取組を推進します。
さらに、英語教育の推進のため、児童生徒の国際感覚及び英語への関心を高め、コミュニケーション力の向上をめざし、現在7校に配置している常駐の外国語指導助手(ALT)を増員し、令和7年9月から全小中学校に1名以上を配置します。
加えて、「泉大津市公共施設適正配置基本計画」に基づき、楠小学校において、安全・安心で快適な学習環境の提供や地域とともにある学校づくりを推進するため、長寿命化改良工事とあわせて地域交流ゾーンの整備を実施します。
次に、食を通じた児童生徒の健やかな体づくりをさらに推進するため、令和7年度の2学期から中学校においても自校調理方式による給食に切り替えることで中学校給食の品質を向上させるとともに、調理員と顔の見える環境が整うことにより、食への感謝の気持ちの醸成をはじめとする、学校と連携した食育推進を一層強化します。
加えて、これまで夏休み明けの給食開始を9月からとしていた現状を改善し、2学期の給食開始時期を早めることにより、保護者負担を軽減させるのみならず、小中学校ともに給食提供回数が増えることで、児童生徒にとって、より体に良い食材を喫食する機会が増えることにもつながり、児童生徒の健やかな体づくりをさらに推進してまいります。
続いて、生涯学習及び文化芸術についてでございます。
はじめに、生涯学習推進計画及び文化芸術振興計画の両計画については、計画期間の終期が近いことから、次期計画の策定に向け、令和7年度より、市民や団体の皆様とともに、市民共創により取り組みます。
また、市内小中学校に順次整備されている地域交流ゾーンについて、セキュリティ面などの利便性向上を図ることで、公民館などで活動する市民や団体のさらなる活用促進に努めます。また、これまでのキャリアで培った豊富な経験や技術を有する地域人材と、児童・生徒との交流による「協働的な学び」の創出に、より一層取り組みます。
さらに、「まちなかアートフェス2025」について、これまでに引き続き、来場者が市内のいたるところで、自分の好きなアートに出会える場として開催します。運営に携わる市民の皆様や各会場間の“つながり”を大切にしながら、世代や立場、アートのジャンルを超えたコラボレーションを生み出すことで、本市を彩るあらゆる芸術を盛り上げていくとともに、日本の伝統文化の発展・継承に努めます。
加えて、池上曽根史跡公園の活用を進めるため、弥生時代の稲作について学ぶ体験水田を整備します。こどもたちが弥生時代の暮らしや生業について実体験することにより歴史や文化について関心を深めるとともに、農業、自然との調和、資源の大切さなどについて学ぶことで、シビックプライドを育みます。
3点目「みんなが生き生きと、心豊かに健やかに暮らせるまち」についてでございます。
はじめに、少子化の進展や多様化する子育てを取り巻く課題や環境に対応するため、妊娠期から出産・子育て期にわたり、家庭の状況に応じた切れ目ない支援の充実を図り、こどもを安心して産み育てやすい環境づくりを推進し、子育て世代に選ばれるまちをめざします。
また、令和6年4月に新設した母子保健機能と児童福祉機能を一体化した「こども家庭すこやかセンター」について、保健師、助産師、社会福祉士など専門的な知識を有する職員が、連携、協力しながら妊娠期から子育て期にわたり、虐待の早期発見と予防に努めるとともに個々の家庭の状況に応じた切れ目ない支援の強化を図ります。
さらに、令和6年7月から開始した子育て世帯訪問支援事業について、引き続き出産・子育てに対する負担軽減として、子育て世帯を対象にヘルパーなどが家庭訪問し家事・育児支援を行います。特に、妊婦及び1歳未満のこどもがいる家庭への初回無料について、さらなる周知を図ります。
また、地域住民による育児の相互援助活動を行うファミリーサポートセンターにおいて、忙しい子育て世帯がいつでも会員登録や研修を受講できるよう、オンライン申請や動画研修を導入し利便性の向上を図るとともに、ひとり親家庭に24時間分の無料チケットを配布するなど事業の利用促進を図ります。
加えて、ひとり親家庭への支援として、令和7年度から養育費の取り決めを行うひとり親家庭の母又は父に対し、養育費に関する公正証書などの作成に必要な費用及び保証会社と養育費保証契約を締結する際に必要な費用について補助金を支給します。
また、子育て世帯の負担軽減のため、これまで国基準の通り条件を付して実施していた保育料の多子減免制度を本市独自で拡充し、年収に関係なく多子カウントの年齢制限を撤廃し、すべての第2子を半額、すべての第3子以降を全額無償とします。
さらに、本市の就学前施設に通うすべての児童の健康づくりをめざし、市内の民間認定こども園に対し、公立園で提供している金芽米を給食に使用した場合の補助を行います。
加えて、「泉大津市就学前教育・保育施設再編実施計画」に基づき、施設再編と認定こども園化を進め、民間認定こども園2園を令和8年度に開園し、特色ある教育・保育環境の充実を図ります。
さらに、周産期小児医療センターにおいて、令和7年度から病児保育を新たに実施し、保護者の子育てと就労の両立を支援するとともに、児童の健全な育成及び資質の向上を図ります。
次に、孤独・孤立に悩む人や高齢者、障がい者などを誰ひとり取り残さない社会をめざし、誰もが気軽に集い、軽食などを共にしながら、高齢者、障がい者、世代間の交流などができる場として、官民連携で実施している「みんなの居場所」事業をさらに推進します。
また、制度の狭間にある様々な課題を抱える人を適切な支援へとつなげられる連携体制の充実を図るため、重層的支援体制整備事業による分野横断的な支援体制づくりを推進します。
さらに、高齢者の死後の心配などを軽減し、安心して生き生きとした生活を送ることができるために、財産整理や葬儀など人生の終わりに向けた準備についての相談を受けるとともに、ひとり暮らしで、葬儀などを行う身寄りがなく、生活にゆとりのない高齢者を対象に、生前に葬儀や納骨手続を葬祭事業者と契約することに市が寄り添い、見守るエンディングサポート事業に取り組みます。
加えて、高齢者が介護施設などで行うボランティア活動にポイントを付与し、ポイント数に応じて市内の特産品などと交換できる介護予防ボランティアポイント制度を創設し、高齢者の社会参加や地域貢献を促すことにより生きがいづくりに資するとともに、介護予防を推進し、健康寿命の延伸をめざします。
また、介護支援専門員が不足する中、市内の介護支援事業者などが行う介護支援専門員などの人材確保・人材定着の取組を支援することを目的に、介護支援専門員などが受講した研修費用を負担した事業者に対し費用の一部を助成します。
さらに、もの忘れ検診やオリジナル認知症予防ダンスの周知など認知症の予防・改善に向けた取組を進めるとともに、認知症になっても高齢者が住み慣れた地域で暮らせるよう、認知症高齢者などが行方不明となった場合の早期発見につなげるため、スマートフォンを活用した見守りアプリを新たに導入し、地域における見守り体制の強化を図ります。
次に、障がい児者の支援として、基幹相談支援センターにおいて、障がいの種別や各種のニーズに対応できる総合的な相談対応を行うとともに、地域の相談支援体制を強化する取組を実施し、障がい児者の地域生活の充実を図ります。
また、市内企業や事業者に対して店舗などのバリアフリー化を支援することで、障がいのある人などに対する合理的配慮の提供を促進し、誰もが暮らしやすい地域づくりを進めます。
続いて、健康と食についてでございます。
本市は、未病予防対策先進都市をめざし、市民一人ひとりの健康づくりを推進するための基本理念を定めた「泉大津市健康づくり推進条例」に基づき、「官民連携」「市民共創」で健康づくりの施策を展開しております。
はじめに、死因の第1位である、がんの早期発見・早期治療につなげるため、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がんの5つのがん検診を、集団健診、個別検診において1機関で同日に受診できる体制を整え、受診率の向上を図ります。
また、子育て世代や働く世代の健康づくりを推進するため、未病状態を早期に把握することで、主体的な健康づくりに取り組めるよう、女性ホルモンに関連する検査や腸内環境検査など未病状態を独自に測定する「泉大津版未病予防健診」を新たに創設し、健康寿命の延伸及びQOLのさらなる向上を図ります。
加えて、食育については、生涯にわたって「食を選ぶ力・作る力・食べる力」を育むため、親子で取り組む野菜の栽培体験や発酵食品づくりなど、親子で学び、体験できる取組やライフステージに応じた調理実習など食の体験活動を中心に、各部署が連携して実施します。
また、「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」に基づき、本市が必要とする食糧を確保できるよう、本構想に賛同する自治体、生産者、関係団体などとの連携を引き続き推進するとともに、市独自のサプライチェーンを安定化させながら市民生活を支える社会インフラの構築を図ります。また、市民の健康増進の観点から、全国各地の農業連携先自治体との取組を深化させ、食育の推進やこどもの原体験につながる農業体験機会を拡大するとともに、「食と農」をフックとした関係・交流人口拡大による地域活性化をめざします。
さらに、今月包括連携協定を締結したJAいずみのと連携して、市内の農地を活用し、有機栽培を取り入れた体験型農園の運営事業や、こどもの農業体験などの取組を展開することで、土に触れられる環境をつくり、医食同源、身土不二の大切さを楽しみながら考えるきっかけをつくります。
加えて、こどもたちが本来持つ身体能力の向上や高齢者の身体機能の維持・向上、健康寿命の延伸を目的に、平成30年度から「官民連携」「市民共創」で取組を始めた「あしゆびプロジェクト」については、「大阪・関西万博」において、同プロジェクトの取組や成果を発信し、さらなる健康づくりの気運醸成を図るため、ライフステージに応じた周知啓発、取組の強化、内容の充実を図ります。
続いて、本市の医療体制についてでございます。
昨年12月、泉大津急性期メディカルセンターが開院し、同時に従来の泉大津市立病院は市立周産期小児医療センターへと衣替えを行い、泉大津市の新たな医療体制がスタートいたしました。
平常時における救急受入体制の充実・強化はもとより、大規模災害や新興感染症の発生といった非常時にも有効に機能し得る体制を整え、いざという時に市民の皆様から頼りにされる医療を提供します。
また、少子化の進行や医師の時間外労働規制の影響により、分娩を取りやめる医療機関が増える中、公的な社会インフラとして、周産期小児医療を地域の中で堅持し、経営の立て直しに努めます。
4点目「安全・安心を一人ひとりが考え、みんなでつくりあげるまち」についてでございます。
阪神淡路大震災から30年、能登半島地震でも情報伝達の遅れ、コミュニティの希薄化、多様性配慮の欠如、復興支援の遅れが繰り返されています。これらの課題を一歩ずつ着実に解決し、安全・安心で希望に満ちたまちを築くため、全力で取り組みます。
また、情報伝達の遅れは混乱を招くことから、これを解消し迅速な避難を実現するため、屋外スピーカーに加え、スマートフォン、固定電話、ファックスなどの多重化した防災放送サービスを広め、利用を促進します。さらに、防災放送を日常で意識する習慣を育て、情報が確実に届くようにします。
今年は「大阪・関西万博」が開催されます。外国から訪れる人も、日本で暮らす外国人も増え、言語・文化の違いによる支援が課題であることから、外国人が災害情報を正しく理解し迅速に避難できるよう、多言語対応の避難誘導標識設置と訓練を引き続き実施します。
エコノミークラス症候群の発生は、避難所生活における深刻な問題です。熊本地震では、重症患者の7~8割が女性であったという事実は、女性視点の欠如が命の問題に直結することを如実に示しています。このことを受け、プライバシーの確保や女性特有の物資の準備を一層進めます。
さらに、女性職員、市民、そして団体が防災活動に積極的に参画しやすい仕組みを整備します。
また、地域コミュニティの希薄化は防災面で大きな課題であることから、地域の絆と住民参加による防災を強化するため、今年オープンする 「体験できる。 防災倉庫」を活用し、災害用備蓄物資の使い方を学べる新しい防災出前講座を展開します。
さらに、昨年11月に実施した大防災訓練では、1,639名の市民の皆様にご参加いただきました。その際、避難所の開設をもっと簡単にできないか、物品の使いやすさを改善できないか、職員との連携がうまくいかなかったなど、厳しいご意見を多数いただきました。一方で、それ以上に「参加してよかった」との声を多くいただき、私たちにとって大きな励みとなりました。皆様の声を真摯に受け止め、さらなる改善をめざし、今後も避難所開設訓練、情報伝達訓練、津波避難訓練などを実施してまいります。
加えて、復興支援手続の煩雑さが、被災者支援の遅れを招いていることもあり、この問題を解決し、迅速な支援を届けるために、罹災証明の事務手続をデジタル化し、簡素化を図ります。
また、災害時に対策本部となる市庁舎の受発電設備及び自家発電設備を更新し、防災機能の向上を図ります。
次に、さらなる消防体制の充実強化のため、施設の更新や職員の人材育成に注力し、各関係機関との連携を深めるとともに、地域防災力の要となる消防団の装備の充実を図り、災害時に効率的に活動できるよう消防署との連携を強化します。
また、119番通報時、通報者がスマートフォンで撮影した現場の映像を通信指令員がリアルタイムに共有することができる映像通報システムを導入することで、適切な口頭指導を実施し、救命率の向上を図ります。
さらに、住宅火災による死傷者の発生を防止するため、住宅用火災警報器の設置促進及び維持管理についての周知を各種イベント時や、民生委員・児童委員など地域の方と連携した高齢者宅への防火訪問時に実施することで、より効果的な住宅防火を推進します。
加えて、健康寿命を延伸する取組が重要視されることから、病気やケガを「未然に防ぐ」、「悪化させない」など、予防救急の普及啓発を推進します。
また、市民の皆様と一緒に安全なまちづくりの取組として、昨年9月から実施している防犯の視点をもって無理なく地域やこどもの見守り活動ができる「泉大津市ながら見守り活動登録制度」を引き続き推奨し、市民1人ひとりの防犯意識の向上に取り組み、安全で安心して暮らせるまちづくりをめざします。
5点目「みんなが住みよい環境が整っているまち」についてでございます。
第3次環境基本計画及び地球温暖化対策地域推進計画に基づき、市民、事業者及び市のすべての人が一体となり、市内の緑化も含む環境保全に関する取組を推進するとともに、泉大津市地域環境基金を活用した補助事業を拡充するなど、2050年ゼロカーボンシティに 向けCO2の排出削減に取り組みます。
また、新たに公園内に民間認定こども園を整備する東港公園において多様化する市民ニーズに対応した特色ある公園づくりのため、リニューアル工事を行うとともに、教育支援センターの解体・移転に伴い、隣接する戎町公園の再整備のための実施設計を行います。
さらに、穴師公園のリニューアルとして、穴師公園プールを撤去し、公園出入口周辺の整備を行います。
加えて、平成30年度に策定された「泉大津市住宅マスタープラン」「泉大津市公営住宅等長寿命化計画」に基づき、二田、寿、両市営住宅の集約建替え事業を推進し、地盤調査など各種調査を行うとともに、虫取市営住宅の長寿命化改良工事を行います。
また、泉大津駅西地区活性化の促進、歩行者・自転車の交通安全の向上及び災害時の避難経路や緊急車両通行路の確保を目的として、泉大津駅前通り線の整備を行うとともに、八軒川水路にRC床版を設置します。
6点目「地域資源を活かしたにぎわいが生まれ、再生、発展するまち」についてでございます。
「大阪・関西万博」に国内外から多くの観光客が来阪することを見据え、本市へ誘客するための観光スポットの発掘・磨き上げを行い、それらを周遊できるモデルコースを創出するとともに、その魅力を市民やインフルエンサーと連携して積極的に発信することで関係人口や交流人口を増やし、まちのにぎわいを創出します。
また、需要が期待できるインバウンドをターゲットに、本市域を中心とした観光コンテンツの造成、プロモーションなどを通じて官民連携による地域資源を最大限に活用したインバウンド誘客施策を推進することにより地域の活性化を図ります。
さらに、阪神高速道路株式会社と本市、高石市、忠岡町の二市一町が連携し、4者共創によるお得なクーポン券の販売などを通じて、周遊促進を行うことで、来訪者の増加を図ります。
加えて、港湾エリアの公園や緑地を活用した魅力ある空間・拠点の創出による地域の活性化をめざし、にぎわいを創出するイベントの実施や魅力ある公共空間に向けた施設の整備を行う民間事業者を支援します。
また、市民を対象にプレミアム分(20%)を上乗せしたデジタル商品券を発行し、市民及び事業者への支援を行うことにより地域内における経済活動の活性化を図ることに加え、地域活動などの参加者に対して地域ポイントを付与することにより、市民のまちづくりへの参加を促進します。
さらに、市内中小企業が取り組む新商品開発や販路開拓、業務改善(DX)などの課題解決に向け、知識と経験を有するプロフェッショナル人材の活用を推進するため、マッチング支援事業者と連携し、人材の選定、採用、課題解決に至るまで伴走支援をすることで、市内中小企業の生産性の向上を図ります。
加えて、ふるさと納税のさらなる増額をめざして、補助金制度を活用した返礼品の開発・改良や、季節に合わせた返礼品の登録などその内容をさらに充実させるとともに、中間事業者の専門的知見に基づいた戦略的な広告や返礼品に対するレビュー投稿を促進するためのキャンペーンの実施など返礼品の魅力を伝えるための取組を引き続き実施します。
7点目「新たな力を取り入れ、柔軟にアップグレードし続けるまち」についてでございます。
国が成長戦略の柱として位置付ける「デジタル田園都市国家構想」により、地方では、デジタル技術を活用し、個性を生かした地方創生への取組が求められていることから、本市では引き続き強力にDXを推進します。
はじめに、市民サービスの向上や業務の効率化を図るため、市民が来庁することなく申請などを行える行政手続のオンライン化を拡充し、その周知と利用の促進を図るとともに、個人情報の取扱いやセキュリティを考慮しつつ、行政事務のさらなる効率化を推進するため、職員が生成AIサービスを利用できる環境を整備します。
また、デジタル活用に不安を抱える高齢者に対し、デジタル社会の利便性を実感し、安心してご利用いただくことを目的に、引き続きスマホ教室を実施します。
さらに、市が発注する建設工事及び設計関連業務委託の入札に関して、従来の紙による手続からインターネットを介して行う電子入札システムによる入札を実施し、事務の効率化や透明性の向上、入札参加者の利便性の向上を図ります。
加えて、投票率の減少傾向にある中、投票率向上の方策の一つとして、投票環境向上のために泉大津駅前図書館シープラにて、第2期日前投票所を試行的に設置します。
これまで官民連携による社会課題解決をめざし、府内でトップクラスの官民連携実績を築いてきました。その流れを継続させ新たな民間事業者との連携を図るとともに、これまで築いてきた多様なソリューションを持つ民間事業者との広いネットワークを最大限活用し、複数の民間事業者を巻き込んだ“官民民”連携による、社会課題解決のモデルケースとなる先進的な取組を創出していきます。
さらに、地域再生計画に掲げる地方創生プロジェクトに、本市のまちづくりの理念に賛同する企業の寄附をさらに呼び込むことで、新たな民間資金の流れを巻き起こし、地方創生の取組を深化させていくため、本市地方創生プロジェクトのPR活動を推進します。
加えて、変化の激しい社会情勢に対応し、かつ、市民の幸福度向上を図るため、価値を創造、提供することができる優秀な人材の獲得と育成のあり方を常に考え、強靭な組織を構築します。その取組のひとつとして、若い世代がまちづくりに興味を持ち、自身が市政に対し積極的かつ自由に意見や考えを伝え、参画できる機会を創出することを目的とした「いずみおおつ若者会議」を充実させ、次世代を担う将来有望な人材の育成・獲得につなげます。
また、「みんなが利用しやすく、みんなが集える公共施設のあるまち」の実現に向けて、「泉大津市公共施設適正配置基本計画」第3期(令和9年度以降)の改定に着手します。
令和7年度当初予算案について
令和7年度当初予算案につきましては、
○一般会計 378億2,587万円(対前年度比1.4%減)
○特別会計(国民健康保険事業特別会計 外3特別会計)165億2,491万円(対前年度比0.7%増)
○水道事業会計 28億8,046万円(対前年度比3.3%増)
○下水道事業会計 53億5,305万円(対前年度比1.9%減)
○病院事業会計 63億1,421万円(対前年度比59.3%減)
○全会計合計 688億9,851万円(対前年度比12.3%減)
でございます。
以上が令和7年度に向けての私の市政運営の基本方針ですが、結びにあたりまして、例年同様に市民の皆様に「3つのお願い」があります。それは、あいさつ、ごみ拾い、みどりを増やす運動です。 この3つの運動につきまして、市民の皆様のまちや人を想う愛の活動の輪が着実に広がっておりますことに心から深謝を申し上げます。引き続き、「人と人のつながりを大切にする」「まちを綺麗にする」「みどりを育む」まちづくりを基本とし、市民の皆様一人ひとりとともに、小さなアクションを積み重ねていきたく思います。一人の力は微力であっても無力ではない。「一燈照隅 万燈照国」という言葉のように、一人ひとりが持つ力を信じています。自然との調和、お互い様、おかげ様、利他の心など、日本が古来より紡いできた和の心を、職員、市民の皆様と大切にしながら、泉大津市を前に進めていくために全力を尽くす所存です。議員各位並びに市民の皆様におかれましては、格段のご支援・ご協力をいただきますよう、心からお願い申し上げまして、私の所信表明と、令和7年度の取組及び当初予算案についての説明といたします。
令和7年2月25日
泉大津市長 南出 賢一
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更新日:2023年08月01日