第12回「泉大津市オリアム随筆(エッセイ)賞」が決定しました!

更新日:2024年01月04日

   衣服や繊維製品にまつわる思い出、感動したことなどをテーマとしたエッセイで「繊維のまち・泉大津」を広くPRするために創設した第12回「泉大津市オリアム随筆(エッセイ)賞」の受賞作品が、全国から応募のあった243点の作品の中から選考されました。

   選考は、難波利三氏、有栖川有栖氏、玉岡かおる氏、吉村萬壱氏の4氏により行われ、白熱した議論が交わされ、オリアム随筆賞(最優秀賞)を含む上位6作品、泉大津市民から選出される特別賞「泉大津市長賞」1作品の計7作品の授賞を最終決定いたしました。  

   なお、令和6年3月16日(土曜日)にテクスピア大阪(泉大津市旭町22-45)で受賞者の表彰式と、選考委員をパネリストに迎え、エッセイの書き方や楽しみ方を講演していただく文学フォーラム「オリアム随筆(エッセイ)教室2024」の開催を予定しています。

      ※詳細が決まり次第、市ホームページでお知らせいたします。  

第12回「泉大津市オリアム随筆(エッセイ)賞」 受賞者一覧

選評

番号

  作品タイトル 氏名 住所 年齢
(1)

最優秀賞

(オリアム随筆賞)

毛布の涙

本田 美徳

大阪府寝屋川市 61
(2) 優秀賞 藍染の手ぬぐい 長谷川 潤 滋賀県守山市 63

(3)

優秀賞 奇跡の通園かばん

後藤 里奈

東京都杉並区 35
(4) 佳作 アゲハ蝶 池永 恵子 和歌山県橋本市 63
(5) 佳作 父の昔話 浅野 憲治 愛知県尾張旭市 66
(6) 佳作 絹の小風呂敷 森 あき 三重県伊勢市

49

(7) 泉大津市長賞(特別賞) 毛布と私 加納 博子 大阪府泉大津市 59

※年齢は受賞発表(令和6年1月4日)時点のもの

受賞作品はページ下記のファイルからご覧いただけます。

選考委員による選評

難波 利三 氏

(1)書き出しが大袈裟だと思いつつ、読み進めるうちにぐいぐい引き込まれ、気がつくと自分の涙腺も完全に弛んでいた。遺族支援という苛酷な任務の実態が生々しく描かれ、非業の悲しみと寄り添う人間愛が胸を打つからだ。貴重な記録としても遺したい作品である。

(2)出来過ぎた美談仕立てではないかとの邪念をふと覚えるが、読後の感動がそれを払拭する。凛々しく成長した若者の姿が目に浮かぶ。

(3)文章がこなれて読み易く、描写も丁寧で二つのかばんが見えるよう。そのかばんで偶然結ばれた絆がしんみりと、後味良く伝わる。

(4)的確な文章で随所にリアル感が漂い、黒のイメージも効果的で兄妹の深い情が偲ばれる。

(5)丁寧言葉の書き方が内容に相応しく、心に響く。ラストに微かな希望が差すのもいい。

(6)切り口が新鮮で全編に明るさが漲り、意外性が楽しい。読後、つい笑みがこぼれてくる。

(7)どこかユーモラスな筆運びが好ましく、愛すべき祖父像が鮮明で結末も決まっている。

有栖川 有栖 氏

最優秀作の(1)は、東北の被災地での苛烈な体験を生々しく書き抜いており、強い作品になった。毛布の描き方にもはっとさせられ、全体的に記録性も感じる。

優秀作は二編。(2)は感情表現に抑制が利かせたことで(「込み上げるものがあった」で充分)、かえって読む者の心に響く。一方、(3)には日常の中での劇的なめぐり合わせと、その中で動いた作者の気持ちが細かく素直に綴られている。

佳作三編のうち、(4)はまず文章が優れており、切り取られたエピソードも印象深い。亡き兄に寄せる作者の想いがしみじみと伝わってくる。(5)は、九十歳の父親が昔話を聞かせてくれた後、「それ以上何も言いませんでした」というのがポイント。(6)は、帯を買うはずが小風呂敷になり、さらにそれが……という展開が面白く、興味深い。

泉大津市長賞の(7)は、ユーモアを交えて「毛布の良い点」が語られ、楽しく読めた。

玉岡 かおる 氏

(1)あれだけの被害と悲劇をもたらした東日本大震災も、年々記憶は薄れゆく。だがこの人にしか書けない体験は、確実にフィードバックさせる記録文学になっている。

(2)ドラマのような巡り合わせだが、少年を励まそうと与えた藍染めの手拭いの、褪せた色のかげんが効いている。歳月は偉大。

(3)こちらもドラマのような巡り合わせ。奇跡という言葉がおおげさにも感じたが、少年の成長を見届けられなかった母親に代わって注ぐまなざしが暖かく、余韻が残った。

(4)亡き人の気配をふと近くに感じる時。それをアゲハ蝶に象徴させた感性が響く。

(5)一つの時代に区切りをつけようとするのに、父は是非を告げず、よき思い出だけを語ってきかせる。場面が目に浮かぶようだった。

(6)結婚のしきたりに寄せる思いの、今、昔。明るい筆致に好感が持てた。

(7)毛布工場のある町の景色を、視覚だけでなく音でも綴った。テンポもいい。

吉村 萬壱 氏

冬の寒さがよく似合うオリアム随筆賞。

(1)文章の巧拙を超えた事実の重みが、圧倒的に迫ってくる作品。遺族は初対面がいちばん辛く、二回目以降は落ち着くといった冷静でリアルな筆が涙を誘う。

(2)ドラマのようなよい話。藍染の手ぬぐいに劣らず、ぜんざいもまたいい仕事をしていた。

(3)この話自体は感動的だが、この幼稚園の制度、奇跡よりも悲喜劇の方が多いのではないかと、ちょっと勘ぐってしまった。

(4)亡き兄の一言がずっと引っかかって後悔していた思いが、兄に貰ったショールの温もりで溶けていく。読むほどに心に沁みる作品。

(5)こちらも2.同様ドラマのようなよい話。商店街ならではの人情味が伝わってきた。

(6)今回この作品が最も布が主役に立っていると思い、私の中では一番だった。物言わぬ小風呂敷が生きている。さりげないその存在感。

(7)こんなかたちで毛布の効用を記した文章を初めて読んだ。ラストの一文も洒落ていた。

第12回「泉大津市オリアム随筆(エッセイ)賞」受賞作品

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