税制改正について(令和3年度以降適用分)

更新日:2023年08月01日

  1. 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
  2. 給与所得控除の見直し
  3. 公的年金等控除の見直し
  4. 基礎控除の見直し
  5. 所得金額調整控除の創設
  6. 非課税基準及び所得控除等の適用に係る合計所得金額の要件等の見直し
  7. 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し

1.給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替

働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする観点から、特定の収入にのみ適用される給与所得控除や公的年金等控除の控除額を一律10万円引き下げ、どのような所得にでも適用される基礎控除の控除額が10万円引き上げられます。 ※給与所得と年金所得の双方を有する場合は、片方に係る控除のみが減額されます。詳細は「5.所金額調整控除の創設」をご覧ください。

2.給与所得控除の見直し

  1. 給与所得控除額が一律10万円引き下げられます。
  2. 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額が850万円、その上限額が195万円にそれぞれ引き下げられます。
改正後の給与所得速算表
給与等の収入金額 給与所得の金額
550,999円まで 0円
551,000円から1,618,999円 給与等の収入金額-550,000円
1,619,000円から1,619,999円 1,069,000円
1,620,000円から1,621,999円 1,070,000円
1,622,000円から1,623,999円 1,072,000円
1,624,000円から1,627,999円 1,074,000円
1,628,000円から1,799,999円 給与等の収入金額÷4
(千円未満切り捨て)
×2.4+100,000円
1,800,000円から3,599,999円 ×2.8-80,000円
3,600,000円から6,599,999円 ×3.2-440,000円
6,600,000円から8,499,999円 給与等の収入金額×0.9-1,100,000円
※8,500,000円以上 給与等の収入金額-1,950,000円

※給与等の収入金額が850万円以上で一定の要件を満たす場合は、所得金額調整控除を給与所得の金額から差し引きます。詳細は「5.所得金額調整控除の創設」をご覧ください。

3.公的年金等控除の見直し

  1. 公的年金等控除額が一律10万円引き下げられます。
  2. 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合、控除額は195万5千円が上限とされます。
  3. 公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円以下の場合は一律10万円、2,000万円を超える場合は一律20万円が上記1及び2の見直し後の控除額から引き下げられます。
改正後の公的年金等雑所得速算表(65歳以上)
公的年金等の
収入金額
(A)
公的年金等雑所得の金額
公的年金等雑所得以外の所得に係る合計所得金額
1,000万円以下 1,000万円超
2,000万円以下
2,000万円超
3,300,000円未満 A-1,100,000円 A-1,000,000円 A-900,000円
3,300,000円から
4,099,999円
A×0.75-275,000円 A×0.75-175,000円 A×0.75-75,000円
4,100,000円から
7,699,999円
A×0.85-685,000円 A×0.85-585,000円 A×0.85-485,000円
7,700,000円から
9,999,999円
A×0.95-1,455,000円 A×0.95-1,355,000円 A×0.95-1,255,000円
10,000,000円以上 A-1,955,000円 A-1,855,000円 A-1,755,000円
改正後の公的年金等雑所得速算表(65歳未満)
公的年金等の
収入金額
(A)
公的年金等雑所得の金額
公的年金等雑所得以外の所得に係る合計所得金額
1,000万円以下 1,000万円超
2,000万円以下
2,000万円超
1,300,000円未満 A-600,000円 A-500,000円 A-400,000円
1,300,000円から
4,099,999円
A×0.75-275,000円 A×0.75-175,000円 A×0.75-75,000円
4,100,000円から
7,699,999円
A×0.85-685,000円 A×0.85-585,000円 A×0.85-485,000円
7,700,000円から
9,999,999円
A×0.95-1,455,000円 A×0.95-1,355,000円 A×0.95-1,255,000円
10,000,000円以上 A-1,955,000円 A-1,855,000円 A-1,755,000円

4.基礎控除の見直し

  1. 基礎控除が一律10万円引き上げられます。
  2. 合計所得金額が2,400万円を超える場合、その金額に応じて控除額が減少し、2,500万円を超えると適用されなくなります。
  3. 上記1及び2の改正に伴い、合計所得金額が2,500万円を超えると調整控除が適用されなくなります。
改正後の基礎控除
合計所得金額 基礎控除
2,400万円以下 43万円
2,400万円超2,450万円以下 29万円
2,450万円超2,500万円以下 15万円
2,500万円超 0円

5.所得金額調整控除の創設

  1. 給与等の収入金額が850万円を超え、次のいずれかに該当する場合は、給与等の収入金額(1,000万円を超える場合は1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額が給与所得の金額から控除されます。
    ・本人が特別障がい者に該当する
    ・年齢23歳未満の扶養親族を有する
    ・特別障がい者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する

    控除額=(給与等の収入金額(1,000万円を超える場合は1,000万円)-850万円)×10%
     
  2. 給与所得及び公的年金等に係る雑所得の金額があり、給与所得及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合は、給与所得(10万円を限度)及び公的年金等に係る雑所得(10万円を限度)の金額の合計額から10万円を控除した残額が給与所得の金額から控除されます。

    控除額=(給与所得(10万円を超える場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得(10万円を超える場合は10万円))-10万円

6.非課税基準及び所得控除等の適用に係る合計所得金額の要件等の見直し

給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替に伴い、非課税基準及び所得控除等の適用に係る合計所得金額の要件等も以下の通り見直されます。

 
要件等 改正後 改正前
障がい者、未成年者、寡婦及びひとり親に対する非課税措置の合計所得金額要件 135万円以下 125万円以下
均等割の非課税限度額の合計所得金額 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族の数+1)+10万円+扶養親族がいる場合は21万円 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族の数+1)+扶養親族がいる場合は21万円
所得割の非課税限度額の総所得金額等 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族の数+1)+10万円+扶養親族がいる場合は32万円 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族の数+1)+扶養親族がいる場合は32万円
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件 48万円以下 38万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件 48万円超133万円以下 38万円超123万円以下
勤労学生控除の合計所得金額要件 75万円以下 65万円以下
家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額 55万円 65万円

7.未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し

全てのひとり親家庭の子どもに対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消するために、以下の措置が講じられました。

  1. ひとり親控除について
    婚姻歴や性別にかかわらず、生計を同じとする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、「ひとり親控除」(控除額30万円)を適用することとなりました。
  2. 寡婦控除の見直し
    上記以外の寡婦については、引き続き寡婦控除として控除額26万円を適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦についても所得制限(合計所得金額が500万円以下)を設けることとなりました。
     
    ※ ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とされました。
     
  3. 個人住民税の非課税措置の見直し
    1もしくは2に該当し、合計所得金額が135万円以下である場合は、個人住民税の非課税措置の対象となります。
改正後の所得控除額(本人女性の場合)
配偶関係 死別 離別 未婚
本人合計所得 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超


親族
30万円 30万円 30万円
子以外 26万円 26万円
26万円
改正後の所得控除額(本人男性の場合)
配偶関係 死別 離別 未婚
本人合計所得 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超


親族
30万円 30万円 30万円
子以外
 
  ひとり親控除   寡婦控除

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