令和5年度施政方針

更新日:2023年08月01日

  令和5年第1回市議会定例会で、南出市長は令和5年度の市政の基本方針となる施政方針を発表しました。

施政方針

   令和5年泉大津市議会第1回定例会の貴重なお時間をいただき、令和5年度の市政運営の基本方針を申し述べる機会をいただきましたことに対し、感謝を申し上げますとともに、議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

   本市は、昨年4月1日に市制施行80周年を迎え、「つむぐ ひろがる #おづの未来」をキャッチフレーズに、「だんじりパレード」や泉大津フェニックスで開催した「市民にぎわいフェスティバル」をはじめ、様々な記念事業を官民連携・市民参加型で企画・実施し、まち全体が一体となり、大いに盛り上がった1年となりました。

   まさにコロナ禍の約3年間、様々な困難を耐え抜き、乗り越え、「さあ、前へ進むぞ」という皆様の想いが「明るい声や笑顔に表れ」、80周年記念の舞台で花開いたと感じています。

   また、これらの記念事業を一緒に創り上げることで、市民の皆様にもあらためて「まちへの愛着や誇り」を感じていただくことができたのではないでしょうか。

   また、私自身も市民の皆様の団結力をあらためて実感するとともに、本市の魅力や可能性を確信し、決意を新たにしたところです。

   まさに、「再始動(Re:START)」の契機となった80周年を起点に、官民が力を合わせ、市民や団体の皆様とともに、90周年、100周年の未来へとつむぎ、持続的に発展していくまちづくりを進めてまいります。

   令和5年度は、本市の未来へと繋がる第一歩の年です。

   市民の皆様の暮らしの中に、一つでも多く笑顔が生まれるまちづくりを職員一丸となって取り組んでまいります。

   市制施行80周年により市内にもにぎわいを取り戻しつつある一方で、長期化する新型コロナウイルス感染症や、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格や物価の高騰により市民生活や市域経済に大きな影響を及ぼしています。

   また、気候変動による自然災害の激甚多発化や、国際情勢の変化による食料や金融、物流をはじめとした地政学上の問題などが生じるなど、何が起こるかわからない、何が起きてもおかしくない世の中であり、このような中においても市民の皆様の命と暮らしを守り続けることが、我々、地方自治体の最大の使命であります。

   そのためにも、社会情勢の変化や流れを正しく予測し、的確に判断し、かつ迅速に対応する柔軟かつ強靭な組織であるとともに、既存の枠組みにとらわれないチャレンジングな思考で課題解決に取り組んでいく必要があります。

   有事を想定した平時の仕組みの再構築や多様な選択肢を市民の皆様に提供するという考え方が非常に重要であり、「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」や「泉大津市健康づくり推進条例」はこれらの考え方を体現したものとなっており、令和5年度はこれらに基づく取組を推進してまいります。

   令和5年度は、設計の段階から市民の皆様と創り上げてきた緑豊かな自然が感じられる公園「シーパスパーク」がオープンします。

   翌年には、シーパスパークの民間活用地にレストラン等がオープン予定であり、市民相互の交流や、健康の学び、食育、スポーツの拠点として、また、官民連携・市民共創によるアビリティタウンの形成を先導する場として、本市の魅力・価値を大きく向上させる「市民の財産」になると確信しています。

   また、一昨年9月にオープンした駅前図書館「シープラ」は、まもなく来館者50万人を突破し、新たな価値や様々な出会いを創出する図書館として市民に大変親しまれています。

   港湾エリアなぎさ公園のシーサイドバーベキュー施設も、昨年は約1万9千人が訪れ、新たな都市型レジャーとしてにぎわいを創出しています。

   さらに、市民の皆様が安心してより質の高い医療が受けられる、新病院「泉大津急性期メディカルセンター」は、令和6年度中の開院に向けて工事が始まり、現在の市立病院も、女性と子どもにやさしい「市立周産期小児医療センター」として生まれ変わるための施設改修に着手してまいります。

   市内小中学校の給食では、オーガニック食材等を使用した「ときめき給食」に加え、保護者のご負担なしで有機米などを高い栄養価を残すことができる精米方法により提供し、子どもたちの食育や健康な体づくりに繋げてまいります。

   同時に、官民連携による「マタニティ応援プロジェクト」を新たに実施するなどハード・ソフト両面の取組により、まちの価値が向上し、より一層子どもを産み育てやすい環境が整ってまいります。

   こういった状況を踏まえ、令和5年度は「シティプロモーション元年」と位置づけ、本市の魅力や特色を、市内外に強力にPRすることで、市民の皆様のシビックプライドの醸成や定住促進・交流人口創出の両面からアプローチし、「住み続けたい」、「住んでみたい」、「行ってみたい」と思っていただけるまちづくりに、職員一丸となって取り組んでまいります。

   さて、2025年開催予定の「大阪関西万博」がいよいよ2年後に迫ってまいりました。

   関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」は、本市が全国に先駆け、官民連携・市民共創により本市のフィールドを活かした社会課題の解決に向けて取り組んでいる「泉大津版リビングラボ」の理念に合致しています。

   「TEAM EXPO 2025」プログラム 共創パートナーの一員として、引き続き社会課題の解決につながる実証実験を本市発で推進し、これらの取組を創発することで、選ばれる、訪れたくなるまちをめざしてまいります。

   加えて、令和5年度におきましても「将来に希望がもてる、元気な泉大津を作る」ため、3つの志である「憩いとふれあいのまちづくり」、「0歳から100歳の人づくり」、「地域経済を元気にする」の実現に向け全身全霊で邁進してまいります。

   それでは、令和5年度の主要事業を、「第4次泉大津市総合計画」の基本計画に掲げます7つの政策分野に沿ってご説明いたします。

   1点目「力を合わせて市民の笑顔があふれるまちづくり」についてでございます。

   令和4年度は、市制施行80周年を契機にまさに官民連携・市民共創によるまちづくりが大きく進んだ1年であったと感じております。令和5年度は、そこで培われたこの機運をさらに高め、未来に向けて持続的に発展させる一年になるよう取り組んでまいります。

   はじめに、本市のまちづくりの最上位計画となる総合計画が令和6年度末までの計画期間となっていることから、次期総合計画の策定に向け、令和5年度より市民、団体、事業者の皆様とともに、官民連携、市民共創により取り組んでまいります。

   また、社会課題が多様化するなか、市民公益活動を活性化させるため、市民公益活動団体が市指定のプロボノ制度を活用して団体内の課題解決を図る場合に、必要経費の一部を助成する新たな支援策を実施します。

   さらに、女性の社会参画の機会の充実を図り、その活躍を推進するため、就職活動を行う保護者が駅前施設における一時預かり事業を利用する際の費用を補助することにより、安心して子どもを預け、就職活動に専念できる環境整備に向けて実証実験を行います。

   加えて、市役所においても、女性の働きやすい職場環境の整備と、多様で積極的なキャリアアップの後押しを推進するため、職員が発案した「女性のキャリアデザイン研修」にさらに磨きをかけ、女性のキャリアアップが当たり前になるような取組の定着をめざすとともに、一事業所としてモデルとなるような取組を進め、市内事業所に対して働きかけてまいります。

   2点目「学びあうひとづくり 彩りあるまちづくり」についてでございます。

   長期化するコロナ禍においても、学びの継続と教育活動の質的向上を図るとともに、学校・保護者・地域の繋がりを大事にした学校づくりを進め、泉大津市で教育を受けてよかった、泉大津市で教育を受けさせたいという市民が増えるよう、各種取組を進めてまいります。

   はじめに、児童及び保護者をエンパワーメントする取組として、小学校で校内適応指導教室をモデル校設置するとともに家庭教育支援事業の拡充を行います。

   また、教科及び道徳教育をはじめ、学校課題に精通した学識経験者や専門家を招聘し、教職員研修の充実を図り、学校力の向上に努めるとともに、小中学校における宿泊行事や校外学習等の学校行事において、看護師等の医療専門職を派遣することで、児童生徒が安心して行事参加できるようにします。   

   さらに、令和4年度モデル校1校で実施した民間委託による小学校水泳授業は、授業時間の安定確保・専門指導者の指導による技術向上・教員の負担軽減などが図られたことから、令和5年度からは全ての小学校で実施します。

   また、小中学校及び就学前施設の給食に、有機米などの高品質な米を、より栄養価の高い精米方法により提供するとともに、有機食材の提供頻度を上げ、子どもの豊かな食生活や健康な体づくりにつなげます。また、これら米に係る費用は市が負担することにより、食糧価格高騰禍においても保護者負担を増額することなく、給食内容のさらなる充実を図ります。

   加えて、中学校では、令和元年度からデリバリー方式にて給食を実施しておりますが、より温かく美味しく、調理員との顔の見える関係を作ることで食育を更に推進できるよう、自校調理方式での実施をめざして設計業務を行います。

   続いて文化芸術についてでございます。(仮称)まちなかアートフェスとして、これまで別々に開催してきた市展やごかんのおまつりなどのイベントを再編し、展覧会やコンサートなどの鑑賞型イベント、ワークショップなどの体験型イベントの両方が街の中で触れられる一日を作ります。これは市民が気軽に文化芸術について話し合えるワークショップ「ブンカミーティング」のアイデアや意見を反映させたもので、今後も文化芸術でにぎわうまちをめざします。

   さらに、本市の魅力ある文化財を、いつでも・どこでも・だれでも見ることができるデジタルアーカイブ「オリアムデジタルヒストリー」を活用し、本市の文化財が持つ魅力と価値を広く発信するとともに、教育現場での積極的な活用を推進します。併せて、子どもたちの地域への愛着や誇りを育む地域資料を活用した授業を行うため、教職員に対して研修の充実を図ります。

   次に令和3年9月にオープンし、来館者数が間もなく50万人に達する図書館シープラでは、「泉大津市子供の読書活動推進計画」を策定し、学校や関係機関と密に連携しながら、子どもの読書活動が豊かになるようサポートします。併せて、学校図書館を含めた、市域の様々な場所で本や学びに触れられる「まちぐるみ図書館」の整備を進めるとともに、その位置や活動内容が一目でわかる、まちぐるみ図書館マップづくりに取り組みます。同時に、児童生徒一人一台端末に導入した電子書籍サービスを活用し、本と出会う機会を増やすとともに、学校図書館と図書館シープラの一層の連携を行い、子どもの読書活動の推進を図ります。

   また、総合体育館大体育室に空調設備を設置し、一年を通じて快適で安全なスポーツ環境を整備します。加えて、学校体育施設の有効的な利用促進に積極的に取り組みます。

   さらに、中学生が将来にわたってスポーツ・文化活動を継続していくために、部活動の地域展開や、中学校にはない地域クラブの開設、クラブ指導者の資質向上及び人員確保に取り組んでまいります。

 

   3点目「誰もがすこやかにいきいきと暮らせるまちづくり」についてでございます。

   多様化する子育てを取り巻く課題や環境に対応するため、子育て世帯への経済的支援や相談体制、安心して子どもを預けることができるサービスなど各種子育て支援を充実させ、子どもを安心して産み育てやすい環境づくりを推進してまいります。

   はじめに、妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型の相談支援を実施し、対象となる妊婦・乳児それぞれ1人当たり5万円の現金を支給する経済的支援を一体として実施する国の出産・子育て応援事業を実施してまいります。さらに、市の独自事業として、7か月児をもつ全家庭を対象に、専門職による家庭訪問を行う相談支援と、育児用品等を購入できるクーポン5万円分を支給することで、経済的な負担軽減と子育て支援の充実を図ります。

   さらに、食による妊婦の健康増進を目的に、妊娠届提出時に金芽米(2キログラム)をすべての妊婦に提供する「マタニティ応援プロジェクト」を市と事業者が連携して実施します。また、プロジェクトへの参加希望者に対して金芽米最大10キログラムを出産月まで毎月提供し、妊婦健診等の健康データやアンケートにより健康効果を検証する実証実験を行います。

   また、少子化の進展にも関わらず増加する1歳児の保育ニーズに対応するため、待機児童解消施策として、小規模保育事業を実施し、保育の必要性のある方に対し適正な受け皿の整備を進めるとともに、新たな保育人材確保対策として、民間認定こども園の保育士新規採用に対し補助を行います。

   さらに、駅前商業施設内という好立地において、民間の子育て支援センターを開設し、おやこ広場と一時預かり事業を実施し、子育て支援の充実を図ります。

   加えて、障がいや発達に課題のある児童とその家族に対し、発達段階に応じた切れ目ない支援を行うため、発達支援の中核となる児童発達支援センターを開設します。毎日通園における療育を拡充するとともに、新たに個別通園や相談支援、保育所等訪問支援を実施し、発達支援の充実を図ります。

   次に、市民の健康寿命の延伸と生活の質(QOL)の向上に向け、市民一人ひとりの健康づくりを推進するための基本理念を定めた「泉大津市健康づくり推進条例」を本年4月に施行し、「未病予防対策先進都市」をめざし、健康づくりの気運の醸成及び健康づくりに取り組みやすい環境の整備を官民連携・市民共創でまちをあげて取り組んでまいります。そして2025年開催の「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマの『大阪・関西万博』の共創パートナーとして、これらの取組を広く発信してまいります。

   健康づくりのスタートとして、まずは自分の健康状態を知るきっかけづくりとして、イベント開催時など多様な機会を通じて健康チェックを実施します。また出前講座では、食育やからだチェックなど、コースを選んで健康チェックができる「お出かけ保健室」を地域に出向いて実施します。

   令和4年度からスタートしたおおさか健活マイレージ「アスマイル」に市民限定ポイントを付与する、大阪府の健康アプリを利用した主体的な健康づくりを令和5年度も継続しながら、運動・栄養に関する自身の健康状態を統合的に見える化し、市民が未病予防対策を主体的に実践できるよう、新たなスマートフォンアプリの整備に向け取り組みます。

   さらに、令和5年6月下旬の供用開始を予定しているシーパスパークエリア内においては、多様な健康メニュ―で健康課題が解決できるよう、新たな健康づくりの発信拠点の体制整備を官民連携で進めます。

   平成30年度から官民連携・市民共創で取組を始めた「あしゆびプロジェクト」については、5年間の評価を実施するとともに、さらなる評価指標を設定し、取組の強化・充実を図るための調査・研究を進めます。

   就学前児童の取組においては、事業効果をさらに高めるため、官民連携による成果連動型委託契約にて事業を実施し、健康な体の土台づくりをめざします。

   新型コロナ後遺症者及びワクチン接種後の副反応対策については、オンライン相談やコロナ・ワクチン後遺症改善プログラム、ワクチン接種後の健康被害支援金など、市独自の対策として今年度も実施してまいります。

   また、地域福祉を推進するため、これまでの取組の評価・検証を行うことで現状と課題を整理し、「地域福祉計画」「地域福祉活動計画」「自殺対策計画」を一体化した「第5次泉大津市地域福祉計画・第4次地域福祉活動計画」を策定します。

   加えて、高齢者の認知機能の維持・向上に向け、東京大学先端科学技術研究センターと連携し、認知症予防改善プログラムの開発に取り組むとともに、市民への啓発として、認知症予防フォーラムを実施します。また、認知症の危険因子のひとつとして位置づけられている難聴への取組として、高齢者等が補聴器を購入する際の費用の一部を助成することにより、高齢者等の難聴による閉じこもりを予防し、積極的な地域交流を促進します。

   障がい者支援施策については、手話が言語であるとの認識に基づき、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及についての取組を進めるとともに、ろう者向けにタブレット等を利用した遠隔手話通訳サービスの開始など手話を使いやすい環境を整備します。

   さらに、市内企業や事業者に対して店舗等のバリアフリー化を支援することで、障がいのある人等に対する合理的配慮の提供を促進し、誰もが暮らしやすい地域づくりをめざします。

   国民健康保険事業においては、令和6年度の府内国民健康保険料等の統一に向け、本市の実情に即した国保制度に配慮しつつ、スムーズに大阪府標準保険料等への移行を行ってまいります。

   4点目「安全で心やすらぐまちづくり」についてでございます。

   変化の激しい時代にあっても、協力し助け合うことが最大の災害対策であることに変わりはありません。「自助・共助・公助」にご縁をいただいた企業の「縁助」も加え、引き続き助け合いの仕組みづくりを進めてまいります。

   そして、若い世代ほど防災意識が低い傾向にあることから、”未来を担う当事者と、ありたい未来を考えるため”、引き続き、高校生や大学生、子育て家庭向けの防災啓発に取り組みます。

   また、過去の震災では避難生活の質に課題が多く、たくさんの避難者が体調を崩しました。”もしものときも、心と身体の健康が保たれるよう”、多様な生活者の視点に配慮した食料や生活必需品の整備を進めていきます。

   加えて、感染症、夜泣き、プライバシーという課題。妊産婦は、様々な理由で避難を躊躇しがちです。”躊躇せず避難する。その選択肢を増やすため”、洪水浸水想定区域に居住する妊産婦を対象としたホテル避難制度を継続します。

   次に、消防力の充実強化のため、消防本部及び消防団の各種資機材等の更新整備を図り、専門的かつ高度な知識及び技術の習得に努めるとともに各種団体との連携強化を図ります。

   同時に火災予防分野の電子申請を開始し市民の利便性の向上を図るとともに、窓口業務の効率化により防火指導や実践訓練などのコア業務のさらなる充実を図ることで、きめ細やかなサービスの提供に努めます。

   さらに、市民ニーズに応じた救急体制の確保に努めるとともに、健康寿命を延伸する取組が重要視されることから、病気やケガを「未然に防ぐ」、「悪化させない」など、予防救急の普及啓発を促進します。

   また、犯罪被害者やその遺族・家族の生活再建に伴う経済的・精神的負担を軽減するため、国の給付金支給に先立って市独自の見舞金を支給することで、安心して暮らせるまちづくりにつなげてまいります。

   5点目「コンパクトで居心地のよいまちづくり」についてでございます。

   官民連携・市民共創により、都市ブランド「アビリティタウン」の形成を先導する場として、市民会館等跡地に市街地の中でもより“みどり”を感じることのできるシーパスパークエリアの供用を開始します。今後、シーパスパークエリアでは、民間ノウハウを最大限活用するとともに、市民が主体となった空間づくりをめざします。

   供用開始に先立って、周辺道路改良工事を竣工させ、当該地域の防災性及び利便性の向上を図ります。

   次に、交通対策として、新たにできる道路や人流の変化した交差点等で、人工知能(AI)により交通事故を予測する実証実験を行い、交通事故防止につなげます。

   また、平成30年度に策定された「泉大津市住宅マスタープラン」「泉大津市公営住宅等長寿命化計画」に基づき、事業実施方針等を策定し、二田、寿、両市営住宅の集約建替え事業を推進してまいります。

   そして、令和5年3月に策定する第3次環境基本計画及び地球温暖化対策地域推進計画に基づき、市民、事業者及び市のすべての人が一体となり環境保全に関する取組を推進するとともに、泉大津市地域環境基金を活用した補助事業の拡充や、電力の地産地消に向け、泉北クリーンセンターの廃棄物発電余剰電力を公共施設へ導入するなど、2050年ゼロカーボンシティに向けCO2の排出削減に取り組んでまいります。

   6点目「誇れる・選ばれる・集えるまちづくり」についてでございます。

   ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、電気やガソリン、小麦やとうもろこしが原材料となる食品などの物価高騰により、企業活動、市民生活に大きな影響を及ぼしています。

   これらの状況に加え、異常気象といった安定的な食料供給が危ぶまれるリスクの高まりもある中において、不測の事態が起きた際においても、市民の暮らしを守ることができるように、独自の食糧確保構想を掲げ、『平時における安全・安心な食の提供』と『不測の事態に対応しうる安定的な食糧確保』の推進に向けて農山村を持つ自治体と連携し、取組を進めてまいります。

   令和5年度は、本市が必要とする食糧を確保できるよう、本構想に賛同する自治体等を増やすとともに、米の保管・精米・配送について、より安定的かつ効率的な運用をめざして民間企業と連携し実証実験を行いながら、安全でより栄養価の高いお米を学校給食等で使用してまいります。

   加えて、安全・安心な大阪エコ農産物の認証を受けた農産物の生産・販売を行う市内農家に対して、市が補助金を交付することで、大阪エコ農産物栽培の普及、促進を図ります。

   また、泉大津市の経済動向、地域・産業特性、市内企業の実態把握、経営課題、施策ニーズ等を把握するとともに、これまでの市の取組の効果を検証し、今後の産業振興施策の方針を示す新たな産業振興ビジョンを策定します。

   さらに、市内外の交流人口の促進を図るため、港湾エリアの公園や緑地を活用した都市型アウトドア空間の創出をめざし、社会実証実験を通じて、港湾エリアのにぎわい創出等の活性化事業を行う団体等を支援します。

   加えて、繊維をはじめとする地元産業振興の拠点であるテクスピア大阪に、本市出身の画家である木村英輝氏に壁画を描いていただくことで、新たなスポットを創出し、当該施設の価値・魅力を高め、シビックプライドの醸成を図ります。

   また、市内における創業・起業を促進することにより、地域産業の活性化を図るため、泉大津商工会議所と連携し、創業時の事業者に対する家賃補助事業の拡充及び要件の緩和や、会社設立時の経済的負担に関する支援事業など、スタートアップの支援に努めます。

   さらに、子どもの金融リテラシー、リユース意識、コミュニケーション能力を向上させ、泉大津市内で将来的に創業者となる起業人材の育成及び機運向上を図るため、キッズフリマ事業を実施してまいります。

   7点目「健全な行財政と都市経営に基づく市民サービス」についてでございます。

   国が成長戦略の柱として位置付ける「デジタル田園都市国家構想」により、地方では、デジタル技術を活用し、個性を生かした地方創生への取組が求められています。

   本市においても、「未病予防対策先進都市」をめざし、令和5年度はその対策の第一歩として、スマートフォンアプリにより一人ひとりの健康状態を見える化ができる環境整備を官民連携で実施してまいります。

   加えて、各種子育て情報の発信、育児日記等の機能を含んだモバイルサービスの提供や、Web予約やオンライン相談など、子ども子育て支援に関するデジタル化にも注力し取り組みます。

   さらに、市民サービスの向上や業務の効率化を図るため、オンライン申請サービスの拡充はもとより、RPA等これまで導入してきたデジタルツールの活用に加え、新たに会議音声のデータ化システムの導入や、現在紙媒体により行っている文書管理及び決裁の電子化を図るなど、自治体DX、デジタル市役所を推進してまいります。

   一方で、オンラインサービス、キャッシュレス等のデジタル活用に不安を抱える高齢者に対し、その利便性を実感し、安心してご利用頂くことを目的に、引き続き、スマホ教室を実施します。

   次に、自主財源確保に向けた重要な取組のひとつである、ふるさと納税による寄付額をさらに伸ばすため、新たな返礼品の開発や販路拡大に資する取組などに対し支援を行い、市の魅力を強力に発信するとともにさらなる地域経済の活性化を図ってまいります。

   さらに、市の魅力発信においては、子育てしやすい環境の整備や小中学校や就学前施設の給食内容の充実、図書館シープラや港湾エリアのレジャー空間、シーパスパークの開設等本市ならではの魅力が整うことから、令和5年度を「シティプロモーション元年」と位置付け、市内外に向けて効果的かつ積極的なシティプロモーションを展開し、シビックプライドの醸成と子育て世帯の定住促進にしっかりとつなげてまいります。

   最後に、市立病院についてです。

   新型コロナウイルス感染症については、昨年12月に成立した改正感染症法の附則において同法上の分類を速やかに検討するものとされ、ようやく経済との両立をにらんで実態に即した対応の在り方の議論が開始されたところです。

   その議論の成り行きと当該感染症の感染状況は、引き続き各医療機関の経営を大きく左右するものと考えられますが、コロナ禍以前から経営的な苦境にある泉大津市立病院では、地理的に近接し、かつ機能的にも類似・重複する府中病院との機能統合、再編・ネットワーク化により、今後の人口動態予測に基づく将来の医療需要の変化を見据えた持続可能な医療提供体制の構築と病院事業会計の健全化に向けた抜本的な収支構造の転換の両立を図るべくすでに準備を進めているところです。

   令和5年度においては、昨年暮れに着工した「泉大津急性期メディカルセンター」の建設事業と並行して、「市立周産期小児医療センター」となる現病院の改修工事に着手するとともに、同センターを中心とする人員の再配置に向けての検討を進めます。

   また、これらの統合、再編・ネットワーク化を着地点として見据えながら、昨年3月末に総務省から示された「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を踏まえた「公立病院経営強化プラン」を策定してまいります。

<令和5年度当初予算案について>

  令和5年度当初予算案につきましては、

○一般会計 394億9,871万円(対前年度比15.6%増)
○特別会計(国民健康保険事業特別会計 外3特別会計) 181億6,277万円(対前年度比15.4%増)
○水道事業会計

31億727万円(対前年度比8.1%増)

○下水道事業会計 56億6,860万円(対前年度比3.8%減)
○病院事業会計 154億8,956万円(対前年度比90.2%増)
○全会計合計 819億2,691万円(対前年度比22.6%増)

   

   でございます。

   以上が令和5年度に向けての私の市政運営の基本方針ですが、結びに あたりまして、例年同様に市民の皆様に「3つのお願い」があります。それは、 あいさつ、ごみ拾い、みどりを増やす運動です。 「人と人のつながりを大切にする」「まちを綺麗にする」「みどりを育む」まちづくりを基本とし、市民の皆様一人ひとりとともに、小さなアクションを積み重ねていきたく思います。一人の力は微力であっても無力ではない。「一燈照隅 万燈照国」という言葉のように、一人ひとりが持つ力を信じています。自然との調和、お互い様、おかげ様、利他の心など、日本が古来より紡いできた和の心を、職員、市民の皆様と大切にしながら、泉大津市を前に進めていくために全力を尽くす所存です。議員各位並びに市民の皆様におかれましては、格段のご支援・ご協力をいただきますよう、心からお願い申し上げまして、私の施政方針と、令和5年度の取組及び当初予算案についての説明といたします。

令和5年2月20日

泉大津市長 南出 賢一

みなさまのご意見をお聞かせください
このページの内容は分かりやすかったですか
このページは見つけやすかったですか
このページに関してのご意見がありましたらご記入ください。

当フォームは、返信不可能のため、ご質問にはお答えすることができません。