令和6年度施政方針
令和6年第1回市議会定例会で、南出市長は令和6年度の市政の基本方針となる施政方針を発表しました。
施政方針
令和6年泉大津市議会第1回定例会の貴重なお時間をいただき、令和6年度の市政運営の基本方針を申し述べる機会をいただきましたことに対し、感謝を申し上げますとともに、議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
さて、私が市長に就任してはや7年が経過し、2期目の任期も残すところ1年をきりました。
これまでの間、「子どもから高齢者まで、何歳であっても、何歳になっても、元気に楽しく暮らしたい」「子どもたちの能力を伸ばし、可能性を開花させる教育を受けさせたい」「安心・安全で便利なまちで暮らしたい」「自然とふれあい、感じながら暮らしたい」いつの時代も変わることがない、こうした願いを実現するため、「官民連携」「市民共創」の理念のもと、一人ひとりの尊厳を大切にし、日本全国に共通する社会課題の解決の先導的なモデルづくりや、持続可能なまちづくりを前進させるべく、「医食同源・身土不二」などの観点を踏まえ、さまざまな施策を展開し続けてまいりました。また、厳しい財政状況を好転させるべく各種行財政改革を進めてまいりました。
市長に就任した平成28年度から令和4年度の決算の間に、市税収入やふるさと納税額を増加させ、長年の課題であった駐車場事業特別会計を清算するとともに土地開発公社の解散への道筋をつけることができました。基金につきましては約36億円から91億円へと残高を積み上げることができ、財政の健全化を示す指標も改善してきました。さらには、本市の長年の課題であった病院改革を実行するなど、持続可能な経営のための道筋をつけてまいりました。
しかしながら、今後、少子高齢化、人口減少社会という未曽有の局面の中で、一挙に押し寄せてくる公共施設の更新やインフラの維持管理など、それらに係る財政負担にも耐えうるべく、行財政改革は道半ばです。
このような状況の中、本市では令和5年度も社会課題の解決につながる様々な取組を推進してまいりました。まず、安全・安心な食糧の安定的確保についてです。ロシアのウクライナ侵攻に収束の兆しがなく穀物価格が高騰する中、わが国においても食料安全保障が議論され、その結果、「不測時における食料安全保障に関する検討会」における取りまとめが公表され、その中で食料の供給不足の状況に応じた政府の体制・対応及び主な措置が整理されたところです。
農地面積が極めて少ない本市においては、このことに先んじて、目前に迫る食糧危機から、市民の食と健康を守るため、昨年3月に「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」を策定しました。
令和5年度は、米の生産地である6つの自治体と連携協定を締結し、現地の生産者と顔の見える関係を構築した上で、本市のために栽培していただいた安全で安心なお米を、栄養素を多く含んだ金芽米に加工して、就学前から小中学校の給食で提供するとともに、「子育て応援米支給事業」を通じ市民の皆様にお配りするなど様々な取組を実施してまいりました。
この取組は、生産地と消費地をつなぎ、消費地が安定的な出口になることで、農業従事者の生産と所得が安定し、共存共生の関係性を構築する次世代型持続可能なサプライチェーンモデルとして農林水産省からも注目されています。
令和6年度においても、日本の共通課題を解決する先導的なプロジェクトとして連携先自治体の拡大や、サプライチェーン改革、他地域への横展開など、社会課題の解決につなげてまいりたいと考えています。
また、市民のヘルスリテラシーを高めるとともに、市全体で健康づくりを推進していく気運を醸成するため、昨年4月に「泉大津市健康づくり推進条例」を施行しました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、市民の健康に対する意識は高くなってきていますが、これまでのように病気になってから治療する対処療法ではなく、日頃から病気になりにくい体づくりを行うことが重要です。そこで、個々の健康状態を見える化し、市民一人ひとりが自身の健康状態に関心と理解を深めることで、それぞれに合った健康づくりに取り組むことができる、「未病予防対策先進都市」に向けた環境整備に努めてまいりました。
この考え方は、市民の健康寿命の延伸に加え、年々増加し続けている国民医療費の削減にも寄与する非常に重要なものであります。今後も、この条例に基づく取組の充実を図り、「大阪・関西万博」を契機に本市の取組を全国・世界に発信してまいります。
さらに、昨年6月にオープンしたシーパスパークでは、オープニングフェスを皮切りに市や各種団体により様々なイベントが開催され、新たなにぎわいの創出と本市の魅力向上に大きく寄与しています。今夏には、全国的に人気の高いレストランがオープン予定で、新たな人の流れや市民の交流が生まれ、本市のさらなる発展・価値向上に寄与するものと考えています。また、市立図書館シープラは開館2年で約70万人の来館者となり、なぎさ公園内のシーサイドバーベキュー施設ではドッグランも整備され利用客が順調に増え、新たなにぎわいが生まれています。
このほかにも、東京大学先端科学技術研究センターと連携し高齢者の認知機能向上に向けて開発した「泉大津市オリジナル認知症予防ダンス」や、まち全体を舞台に見立て、「文化・芸術」を気軽に楽しむことができるイベント「まちなかアートフェス」、こどものころから金融リテラシーを身に付け、未来の起業家を育てる「キッズフリマ」など、市民の皆様のQOLを高め、まちの価値向上につながる取組を着実に推進するとともに、市民とのタウンミーティングを地道に重ねながら、これらの魅力的かつ特徴的な取組を市内外に向け積極的に発信してまいりました。
これら多岐にわたる数多くの取組を展開してきた結果、そこへ参加された方から、「市が良くなってきている」、「市が動いているのを実感している」、「泉大津市の取組に共感して引越ししてきた」という声をお聞きすることが多くなり、まちの変化を肌で感じるとともに、あらためて職員一丸となって、市民福祉向上のための取組を推進していかなければならないと決意を新たにしたところです。
一方、国全体を見ますと1月には民間の識者で構成された人口戦略会議において「日本の人口は、2100 年には 6,300万人に半減すると推計され、このままでは日本経済は「縮小スパイラル」に陥り、国富を失いつづけ、社会保障の持続性が大きく損なわれていくのではないか。」という提言がなされました。まさに、現在、社会は五公五民といわれるように、社会保障制度をはじめとしたあらゆる制度の持続可能性が崩壊しています。
加えて、本年1月1日に発生した能登半島地震をはじめとする頻発化・激甚化し、一瞬で日常を奪ってしまう自然災害への対応、さらには食料やエネルギー価格をはじめとする物価の高騰、金融問題や世界情勢の大転換といった市民生活を脅かす不安要因が幾重にも存在するなど、我が国を取り巻く環境は大変厳しい状況となっています。
本市においては山積する課題の解決に向けて中長期の視点を持ちながら、常に時代の流れを読み、的確に将来を予測し、社会課題の本質にアプローチする取組を「官民連携」「市民共創」で引き続き推進します。
また、これらの取組をさらに市内外に積極的に発信し、シビックプライドの醸成や市の認知度の向上を図り、定住・移住人口、関係人口、交流人口を増加させることで持続可能な行政運営の実現をめざすとともに、日本全国に共通する社会課題の解決やよりよい未来社会を実現する先導的モデルづくりをめざします。
引き続き、社会が激動変化する中においても、市民の皆様の暮らしに安心感が生まれるよう努力するとともに、個々の尊厳を大切にした多様な選択肢を提案するなど、暮らしの中に1つでも多くの笑顔が生まれるよう全身全霊で取り組んでまいります。
それでは、令和6年度の主要事業を、「第4次泉大津市総合計画」の基本計画に掲げます7つの政策分野に沿ってご説明いたします。
1点目「力を合わせて市民の笑顔があふれるまちづくり」についてでございます。
令和6年度は、「大阪・関西万博」をその翌年に控え、本市の未来に向けてさらに魅力あるまちへと発展させる一年になるよう取り組んでまいります。
はじめに、2025年に開催される「大阪・関西万博」のインパクトを活かし、本年9月に「(仮称)IZUMIOTSU EXPO 2024」を本市シーパスパークにて開催します。これまで連携協定を締結した全国の自治体や民間事業者などと協力しながら、「泉大津市の未来に向けたまちづくり」をコンセプトとした未来社会を考える貴重なイベントにします。また、開催にあたっては、社会課題の解決に向けた「官民連携」「市民共創」の取組を発信することで本市をさらに魅力あるまちへと進化させ、シビックプライドの醸成、にぎわいの創出、ひいては「大阪・関西万博」の機運醸成をめざします。
さらに、これまで官民連携による社会課題解決をめざし、府内でトップクラスの連携実績を築いてきた流れを加速させ、社会課題に対して高い解決意欲を持つ民間事業者を呼び込み、新たな官民連携ネットワークを構築することで、社会課題解決のモデルケースとなる先進的な取組を泉大津市発で創出していきます。
加えて、本市のまちづくりの最上位計画となる総合計画が令和6年度末までの計画期間となっていることから、次期総合計画の策定に向け令和5年度から引き続き取り組むとともに、計画策定の暁には、市のあるべき姿と進むべき方向について、市民、団体、事業者の皆様とともに、「官民連携」「市民共創」により取り組んでまいります。
また、自治会や市民公益活動団体向けに、市民活動支援センター「おづぷらざ」でのICTの活用講座などの実施を引き続き行うとともに、自治会でのICTを活用した取組の実証実験を行い、より一層の自治会DX化の推進を図ります。
次に、誰もが個性と能力を発揮できる男女共同参画社会をめざし、固定的な性別役割分担意識を払しょくするための取組を進めるとともに、第3次男女共同参画推進計画の計画期間が令和7年度末までとなることから、次期計画の策定に向けた取組を進めます。
また、市役所における女性の働きやすい職場環境の整備と、多様で積極的なキャリアアップの後押しを推進するために行っている「女性のキャリアデザイン研修」の取組を発展的に継続して行います。また、入庁初期の段階から市職員として持つべき考え方の習得や理念を学ぶ機会を設け、これらの取組を通して、自身のキャリア形成に向き合い今後のスキルアップや昇任・昇格意欲の醸成を図りながら、さらなる女性のキャリアアップの推進と職場における人材育成の取組の定着を進めてまいります。
2点目「学びあうひとづくり 彩りあるまちづくり」についてでございます。
すべてのこどもたちの可能性を引き出し、個別最適な学びと、協働的な学びをさらに推進するとともに、自分自身が受けた泉大津市の教育を自分のこどもにも受けさせたいと思える教育施策を継続して展開してまいります。
はじめに、その理念を「行政」、「学校」、「地域」、「家庭」で共通の認識として共有できるよう、本市教育施策における基本方針などを示す、教育分野の最上位計画である泉大津市教育振興基本計画を、誰もがわかりやすいシンプルな計画に更新することで、地域全体でこどもたちの成長を支える意識を醸成します。
不登校児童生徒が増加傾向にあるなか、誰一人取り残されない学びの保障に向けた方策として、学校には登校できるが、教室に入ることが難しい児童生徒のため、教室以外の学びの場となる校内教育支援ルームを小学校2校に常設することで支援の充実を図ります。
また、不登校児童生徒の支援とともに教育相談や進路相談などの相談機能及び教職員の研修環境をより充実させるため、ベルセンター建物の改修工事に着手し、新教育支援センターを整備します。
さらに、児童生徒の学力向上のため、リーディングスキルの視点と、全国学力・学習状況調査などの「問題・結果」分析の観点を取り入れた授業づくりを基とする「学力向上プラン」を推進します。
加えて、児童生徒の国際感覚及び英語への関心を高め、コミュニケーション力の向上を図るため、複数の学校を兼務しない外国語指導助手(ALT)を令和6年度は9月から7小中学校に配置することで、英語教育の推進を図ります。
また、時代のニーズに柔軟に対応できる、より良い教育環境と「地域とともにある学校づくり」や「学校を核とした地域づくり」を具現化できる施設をめざし、上條小学校の建替工事に着手します。
加えて、中学校給食において、より温かい給食を提供することでさらに美味しく、また調理員と生徒の間に顔の見える関係ができる環境を整えることで、さらなる食育を推進できるよう、令和7年度2学期から自校調理方式を導入するための給食調理室整備工事に着手します。
続いて文化芸術についてでございます。「まちなかアートフェス2024」について、市内のあらゆる場所で「見る」「演じる」「本物に触れる」をテーマに、絵画や音楽、ダンス、工作など、参加する人がそれぞれの興味や関心があるアートに出会える、回を重ねるごとに市民とともに成長するイベントとして開催します。また、まちなかアートフェスが生まれるきっかけとなった、市民が気軽に文化芸術について話し合えるワークショップ、ブンカミーティングも継続して実施し、関わる仲間を増やしながら、文化芸術でにぎわうまちをめざします。
さらに、本市の魅力ある文化財をいつでも、どこでも、だれでも見ることができるサイト「オリアムデジタルヒストリー」を活用し、本市の魅力と価値を広く発信するとともに、教育現場での積極的な活用を推進するための研修を充実させ、実際の授業に反映させていきます。
加えて、条東小学校をはじめ、地域交流ゾーンを順次供用開始していくことに伴い、公民館で活動する市民や地域の団体が、積極的に活用できる仕組みを構築することで、学校施設においてあらゆる世代が学べる環境を整えます。
また、留守家庭児童会(仲よし学級)の安定的な運営及び利用者サービスの向上のため、旭小学校仲よし学級の運営を民間事業者に委託し、土曜日の一時預かりなど新たなサービスを実施します。
次に、図書館シープラを中心に学校と関係機関が連携しながら、「泉大津市こどもの読書活動推進計画」に基づき、こどもの読書活動が豊かになるようサポートします。
あわせて、学校図書館を含めた、市域の様々な場所で本や学びに触れられる「まちぐるみ図書館」の充実など市民の読書環境を整備します。
また、市民のスポーツ及びレクリエーションの普及振興を図るとともに、体力向上や生活習慣病の予防など、健康増進につながるスポーツ活動を推進するため、大体育室の空調設置や競技の安全性を高める床材への張替えなど、新たに環境整備した総合体育館を活用し、体験や観戦など多くの市民が関わる機会を創出します。
3点目「誰もがすこやかにいきいきと暮らせるまちづくり」についてでございます。
本市は、未病予防対策先進都市をめざし、市民一人ひとりの健康づくりを推進するための基本理念を定めた「泉大津市健康づくり推進条例」に基づき、健康づくりの施策を展開しています。
その施策の柱として、病気になる前の段階である未病状態に気づくための「健康チェック」など「健康状態の見える化(からだを知る)」や、からだを整え・実践する「学びの場の充実」、こどもの頃からの「食育の推進」に取り組んでいます。また、自分に合った健康づくりを実践できる環境を整えるため、「官民連携」「市民共創」で多様な選択肢づくりに取り組むとともに、これらの取組について「大阪・関西万博」において世界に向けて発信してまいります。
はじめに、「健康状態の見える化」する取組として、市民が楽しみながら未病予防対策などの健康づくりを主体的に取り組むことができるよう、「いずみおおつマイ・レコアプリ」の活用を本格的にスタートします。
また、令和5年度に引き続き、女性の未病予防に着目した「健康力向上プロジェクト事業」を「官民連携」「市民共創」で取り組み、健康課題を改善することで、ヘルスリテラシー及びQOLの向上を図ります。
さらに、気軽に自分の健康状態に気づけるよう、シーパスパークを健康づくりの発信拠点とし、「健康チェック」や「未病予防相談」、教室の開催、健康づくりのための情報発信などを定期開催し、未病予防対策の拡大、拡充を図ります。
加えて、「健康な身体づくりは、健康な食生活から」を基本とし、こどもの頃から、親子で学び、体験できる取組を中心に、ライフステージに応じた食育の推進を継続して実施するとともに、令和6年6月に大阪市のATCで開催される「健康」「食」「万博」をテーマにした食育推進全国大会において市の食育の取組を発信することを契機に、市民のさらなる健康な食育活動を促進し、気運醸成を図ります。
こどもたちが本来持つ身体能力の向上や高齢者の身体機能の維持・向上、健康寿命の延伸を目的に、平成30年度から「官民連携」「市民共創」で取組をはじめた「あしゆびプロジェクト」については、「大阪・関西万博」において、同プロジェクトの取組や成果を発信するとともに、さらなる健康づくりの気運醸成を図るため、ライフステージに応じた周知啓発、取組の強化、内容の充実を図ります。
次に、こども家庭庁より新たに示された「こども大綱」のもと、少子化やこどもの貧困などの社会課題に対応するこども施策を総合的に推進するため、こどもたちの意見も取り入れた「第三期いずみおおつ子ども未来プラン」を策定します。
また、令和6年4月から母子保健機能と児童福祉機能を一体化した「こども家庭すこやかセンター」を新たに設置し、保健師、助産師、社会福祉士など専門的な知識を有する職員により、連携、協力しながら妊娠期から子育て期にわたり、虐待予防及び個々の家庭の状況に応じた切れ目ない支援の充実、強化を図ります。
さらに、新たに出産・子育てに対する負担軽減として、子育て世帯全体を対象にヘルパーなどが家庭訪問し、家事・育児支援を行う子育て世帯訪問事業を開始します。特に、妊婦及び1歳未満のこどもがいる家庭へは初回無料で利用できるよう支援の充実を図ります。
加えて、食による妊婦の健康増進を目的に、妊娠届提出の翌月から出産予定月までの間、毎月金芽米(10kg)をすべての妊婦に提供する「マタニティ応援プロジェクト」及び、安心して子育てができる環境づくりのため、7か月のこどもをもつすべての家庭を訪問し、個別に育児相談を行い、育児用品などのギフトを支給する「にこにこベビー訪問事業」を引き続き実施し、切れ目のないきめ細かな支援を行います。
また、これまで病後児及び体調不良児の保育を一部の認定こども園で実施してきましたが、令和6年度からえびす認定こども園にて病児保育事業を開始するとともに、令和7年度からの市立病院における病児保育事業の開始に向けた準備を進めます。
さらに、官民連携市民共創型の飲食店による新たなこども食堂の仕組みを実現するフードリボンプロジェクトの取組を市内に広げることにより、日常的にこどもたちへの食事の提供機会を増やし、こどもの居場所づくりを推進します。
高齢者、障がい者、妊産婦や乳幼児を育児中の方など、利用者のさらなる利便性の向上をめざし、積極的な社会参加を促すため、これまで平日のみの運行としていた「ふれあいバス」について、令和6年度から土曜日も平日と同様に運行するほか、市内イベントが多く実施される9月の祝日、10月・11月の日曜日及び祝日においても運行の拡充を行います。さらに、12月の泉大津急性期メディカルセンター開院にあわせ、ルートの見直しを行うとともに、バス車体のラッピングや、バス停表示について、視認性を高めるデザインへ一新します。
また、孤独・孤立に悩む人や高齢者、障がい者などを誰ひとり取り残さない社会をめざし、人と人との交流を目的に多様なつながりの場として、現在、市内5か所で実施している「みんなの居場所」を官民連携でさらに増やしていけるよう進めてまいります。
さらに、在宅介護における家庭の経済的・精神的負担を軽減し、要介護者の在宅生活の継続・向上を図るため、家族介護者支援を拡充します。
加えて、高齢期に達した65歳の市民を対象に、健康づくりに向けた啓発パンフレットや栄養価の高い金芽米を配付することにより、運動・栄養・社会参加の重要性を周知する高齢者健康づくり啓発事業を実施し、高齢期の健康づくり、介護予防への早期の取組を促進し、健康寿命の延伸をめざします。
また、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が本年施行されたことも踏まえ、引き続き、高齢者の認知機能の維持・向上を目的として、認知症予防改善プログラムや無料のもの忘れ検診、高齢者等補聴器購入費用助成事業を実施するとともに、現在、2カ所で開催しているあたま活き活き体操を、新たにシーパスパークでも開催するなど、認知症施策を推進します。
さらに、障がい児者への適切で質の高い支援の提供促進を図るため、基幹相談支援センターを開設し、地域の相談支援体制を強化していくとともに、令和5年度から取り組んでいる市内企業や事業者に対して店舗などのバリアフリー化を支援することで、障がいのある人などに対する合理的配慮の提供を促進し、誰もが暮らしやすい地域づくりを進めます。
加えて、ろう者が来庁することなく市役所へ手話で問合せができるように、ICTを用いた遠隔手話通訳サービスを拡充します。
国民健康保険事業においては、国民健康保険料等の府内統一、マイナンバーカードと保険証の一体化について、適切な周知を行い、スムーズな移行をめざします。
4点目「安全で心やすらぐまちづくり」についてでございます。
本年1月1日に能登地方を中心に発生した大地震では、今なお多くの人々が避難生活を続けています。災害時は市民も、職員も、誰もが被災者になります。みんなで助け合い、より多くの命を救うことができるよう、官と民が協力する市民参加型の初の「大防災訓練」を開催します。
また、地震や津波からは生き延びた。それでも、その後の避難生活で命を落とすのが災害関連死です。一度助かった命が失われないよう、非常食や災害用トイレの充実強化などを進め避難生活の質の向上を図ります。
さらに、災害備蓄物資の新たな保管場所として、旧図書館を改修し、防災倉庫として整備・活用するとともに、中央配水場くらしの水センター敷地内にある井戸水を災害時に生活用水に活用するため、浄水器を購入します。
加えて、断水時でも個室で暖かいシャワー入浴ができるよう、水再生システム・給湯器・脱衣テントなどのシャワー入浴セットを追加整備します。このシャワー入浴セットは、高性能のろ過装置で飲んでも問題ないレベルまで浄化、AIで水質を管理するため、井戸やプールの水でも「貴重な生活用水の水源」として活用できます。
また、情報発信・伝達を強化するため、令和3年度には、防災無線の放送内容が「音声と文字で」スマホに配信されるアプリを導入しました。また、固定電話やファックスにも放送内容を配信できるよう、令和5年度末、防災無線のシステムを更新します。令和6年度からは避難誘導標識を順次更新し、外国人も含め安全に避難できるよう多言語併記のものに変更します。
さらに、夜泣き、授乳、感染症など、様々な不安があり、妊産婦は避難所への避難を躊躇いがちです。非常時でも安心して過ごせる体制を整えるため、引き続き、指定福祉避難所であるホテルと連携し、訓練開催やホテル避難制度の充実を図ります。
次に、将来にわたり持続可能な消防体制を構築するため、消防車両などの計画的な更新整備や堺市と40m級はしご車の共同運用を開始するとともに、各種団体との連携強化や消防職員及び消防団員の人材育成に努め、災害対応能力の向上を図ります。
また、高齢者を火災から守るため、住宅用防災機器の設置促進及び維持管理広報をはじめ、消防団や民生委員・児童委員など地域と連携し防火訪問を実施することで、より効果的な住宅防火を推進します。
さらに、病気やけがを「未然に防ぐ」などの予防救急の推進と救急車の適正利用、応急手当などの普及啓発を促進し、増加する救急需要への対応を図ります。
次に、安全なまちづくりの取組として、ランニングパトロールなど、日常生活の中で防犯の視点をもって無理なく地域やこどもの見守りを行う「ながら見守り活動」を推奨し、より一層安心して暮らしていけるまちづくりをめざすとともに、現在、自治会が設置する防犯灯の新設設置及び維持管理費用についての補助を拡充し、防犯のための環境整備を促進します。
5点目「コンパクトで居心地のよいまちづくり」についてでございます。
令和5年6月に、「官民連携」「市民共創」によりオープンしたシーパスパークが、将来、憩いの“森”となるよう育み、市民の皆様が愛着をもつ公園となるよう引き続き運営してまいります。
また、市内の老朽化した公園施設をそれぞれの特徴を活かした魅力的な公園に再整備するため、穴師公園の実施設計を行うとともに、東港公園については、令和8年度、公園敷地内での民間認定こども園開園予定に合わせて、リニューアル工事を行うための実施設計を行います。また、畦田公園などにおいては、リニューアル工事を実施し、公園の維持管理については、市民団体の活動と連携した取組を進めてまいります。
さらに、老朽化の進む助松公園プールについては、令和5年度にプールサイド平板の更新工事を行ったところですが、令和6年度は夏季営業終了後、令和7年度のリニューアルオープンに向けて更衣室やトイレの更新工事を行います。
加えて、現教育支援センターの解体及び移転に伴い、令和7年度にセンターの跡地と戎町公園の一体的な利活用をめざし再整備に向け取り組みます。
次に、令和5年度に引き続き、交通対策として、道路や交差点などで、AIにより交通事故を予測する実証実験を行い、交通事故防止につなげます。
また、平成30年度に策定された「泉大津市住宅マスタープラン」「泉大津市公営住宅等長寿命化計画」に基づき、二田、寿、両市営住宅の集約建替え事業を推進してまいります。
そして、第3次環境基本計画及び地球温暖化対策地域推進計画に基づき、市民、事業者及び市のすべての人が一体となり環境保全に関する取組を推進するとともに、幼児同乗用自転車購入助成金について未就学児2名以上と限定していたものを未就学児1名の保護者にも対象を広げるなど、泉大津市地域環境基金を活用した補助事業を拡充し、2050年ゼロカーボンシティに向けCO2の排出削減に取り組んでまいります。
6点目「誇れる・選ばれる・集えるまちづくり」についてでございます。
令和5年度は、「シティプロモーション元年」と位置づけ、本市の魅力や特色を、市内外に強力にPRすることに加えて、若手職員で構成するワーキンググループを立ち上げターゲットや情報発信方法などを検討するとともに、パンフレットやポスター、PR動画などの広報媒体を作成しました。令和6年度はこれらを活用し職員一丸となって市内外にシティプロモーションを行うとともに、市民の皆様にも積極的に市の魅力を発信してもらうための仕組みを構築し、市の認知度のさらなる向上と子育て世帯の移住定住の促進を図ります。
また、泉大津フェニックス多目的広場緑地運営管理事業者と「本市港湾エリアにおける賑わい創出に向けた連携協定」を締結し、港湾エリアのさらなるにぎわい創出を図るとともに、観光コンテンツ創出を探ることを目的に、泉大津旧港を利用したクルーズイベントの実証実験を行います。
さらに、「大阪・関西万博」の開催に伴い、インバウンドなどの増加が期待される中、受入体制の強化に取り組む事業者に対し、令和5年度に引き続き、その整備費用の一部を助成します。
次に、北助松商店街、中央商店街の2つの商店街とその周辺を含むエリアの活性化を図るため、空き店舗などを活用した取組を通じて商店街エリア価値向上に取り組む組織・団体に対し、支援を行います。
また、起業・創業に必要な情報をきめ細やかに提供できる相談窓口の強化に加え、起業・創業にチャレンジしやすい支援制度のさらなる充実を図ります。
さらに、ものづくり企業が生産現場を公開するなど自社製品の魅力を内外に発信及び販売などにより地域の魅力の再認識につながる取組への支援を拡充し、市内事業者の新たな価値の創出を促進してまいります。
7点目「健全な行財政と都市経営に基づく市民サービス」についてでございます。
国が成長戦略の柱として位置付ける「デジタル田園都市国家構想」により、地方では、デジタル技術を活用し、各自治体の個性を生かした地方創生への取組が求められていることから、本市においても強力にDXを推進してまいります。
はじめに、RPA活用による業務の自動化について引き続き推進するとともに、市民が利便性をより実感できるよう、オンライン申請可能な行政手続の拡充について全庁的に取り組んでまいります。加えて、自治体DX推進に向けた人材の育成に取り組み、将来的に生成AIを業務に活用することを想定した対話型AIサービスを試行的に導入します。
また、税務行政手続において、セミセルフレジ・オンライン申請・タブレットによる電子申告システムを導入することでDXを推進してまいります。あわせて、納税及び課税事務を委託化することにより、市民サービスの向上を図るとともに、業務の効率化及び徴収率の向上をめざします。
さらに、市が発注する建設工事及び設計関連業務委託の入札に関して、従来の紙による手続からインターネットを介して行う電子入札システムを導入し、事務の効率化や透明性の向上、入札参加者の利便性の向上を図ります。
次に、自主財源確保と市の認知度向上に向けた重要な取組のひとつである、ふるさと納税による寄附額をさらに伸ばすため、返礼品や寄附者などの管理業務を担う中間事業者との連携を強化し、複数の広報媒体を効果的に組み合わせた計画的なプロモーションや返礼品の特徴・品質の良さなどが伝わるようふるさと納税受付サイトに掲載する写真の入れ替えを行うとともに、返礼品提供事業者と協力して魅力ある返礼品の創出を促進します。
また、令和5年度に策定した地域再生計画に掲げる地方創生プロジェクトに、本市のまちづくりの理念に賛同する企業の寄附を呼び込むことで、新たな民間資金の流れを巻き起こし、地方創生の取組を深化させていくため、本市地方創生プロジェクトのPR活動を推進します。
さらに、変化の激しい社会情勢に対応するため、優秀な人材の獲得と育成のあり方を常に考え、実践し、市民の幸福度向上を図るための強靭な組織を構築します。その取組のひとつとして、若い世代がまちづくりに興味を持ち、自身が市政に対し積極的かつ自由に意見や考えを伝え、参画できる機会を創出することを目的とした「いずみおおつ若者会議」を充実させ、次世代を担う将来有望な人材の育成・獲得につなげます。
最後に、市立病院についてです。
令和元年12月に公表した「地域医療連携体制強化構想(案)」が社会医療法人生長会との協力の下、ようやく結実の時を迎えます。
本年8月末には市内我孫子・穴田の地にて現在建設中の泉大津急性期メディカルセンターが竣工、12月に開院します。同時に、現在の市立病院は市立周産期小児医療センターへと衣替えします。
これらに府中病院を加えた3つの病院が、高度急性期・急性期、回復期・慢性期といった病床の機能や、成人、妊産婦・小児といった対象となる患者ごとに明確な役割分担のもと、それぞれが有機的に連携して地域医療全体の底上げを図ってまいります。
平常時における救急受入体制の充実・強化、また非常時におきましては大規模災害や新興感染症の発生にも対処し得る医療体制の構築は、本市のみならず近隣市町にお住まいの方々に「安全」と「安心」を提供できるものと確信しています。
また、総務省による「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を踏まえた「泉大津市病院事業経営強化プラン」の着実な実施をめざします。
<令和6年度当初予算案について>
令和6年度当初予算案につきましては、
○一般会計 |
383億5,158万円(対前年度比2.9%減) |
○特別会計(国民健康保険事業特別会計 外3特別会計) | 164億709万円(対前年度比9.7%減) |
○水道事業会計 |
27億8,815万円(対前年度比10.3%減) |
○下水道事業会計 | 54億5,790万円(対前年度比3.7%減) |
○病院事業会計 | 155億1,958万円(対前年度比0.2%増) |
○全会計合計 | 785億2,431万円(対前年度比4.2%減) |
でございます。
以上が令和6年度に向けての私の市政運営の基本方針ですが、結びにあたりまして、例年同様に市民の皆様に「3つのお願い」があります。それは、あいさつ、ごみ拾い、みどりを増やす運動です。 この3つの運動につきまして、市民の皆様のまちや人を想う愛の活動の輪が着実に広がっておりますことに心から深謝を申し上げます。引き続き、「人と人のつながりを大切にする」「まちを綺麗にする」「みどりを育む」まちづくりを基本とし、市民の皆様一人ひとりとともに、小さなアクションを積み重ねていきたく思います。一人の力は微力であっても無力ではない。「一燈照隅 万燈照国」という言葉のように、一人ひとりが持つ力を信じています。自然との調和、お互い様、おかげ様、利他の心など、日本が古来より紡いできた和の心を、職員、市民の皆様と大切にしながら、泉大津市を前に進めていくために全力を尽くす所存です。議員各位並びに市民の皆様におかれましては、格段のご支援・ご協力をいただきますよう、心からお願い申し上げまして、私の施政方針と、令和6年度の取組及び当初予算案についての説明といたします。
令和6年2月27日
泉大津市長 南出 賢一
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更新日:2024年02月27日