所信表明 (令和3年2月24日)
南出賢一市長の2期目にあたっての所信表明を以下に掲載します。
なお、最下部からPDFファイルでダウンロードすることができます。
所信表明
令和3年泉大津市議会第1回定例会の貴重なお時間をいただき、市長2期目にあたっての所信表明並びに令和3年度の市政運営の基本方針を申し述べる機会をいただきましたことに対し、感謝を申し上げますとともに、議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
4年前、「元気な泉大津をつくる」を合言葉に市長に就任し、議員各位や市民の皆様のご理解とご協力のもと、山積する課題解決に向けて果敢に取り組み、財政問題をはじめ市立病院の問題など、長年本市が抱えてきた課題に対して一定の道筋をつけてまいりました。
しかし、この間、平成30年の台風21号による甚大な被害や、現在も猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症など、これまでに経験したことのないような脅威に直面してきました。コロナ禍においては、繊維のまち泉大津市ならではと言える「泉大津マスクプロジェクト」をはじめ、市内の落ち込んだ経済を救うため、多くの市民が参加した「レシート大作戦」、全国初で実施した「自学自習アプリの無償提供」など、官民連携・市民共創により、その時々の課題に迅速に対応するための取組みを創出してきました。このように、厳しい状況の中にあっても、泉大津市民の温もりや結束力、まちの底力を感じる場面が多くあり、本市の潜在的な可能性を強く確信した次第です。
官民が力を合わせて市民とともに創るまちづくりを進め、市民の皆様の暮らしに笑顔が一つでも多く生まれるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
また、業務改革や事業の見直し等による歳出削減、知恵と工夫をこらした歳入増加により、市長就任以来4年間で財政を着実に改善し、子どもの世代につけを回さない行財政改革を進め、借金を着実に返済しながら、いざという時のための基金積立を大きく増加させることができました。
しかしながら、今後も老朽化した公共施設の建て替えや統廃合などの更新事業が続きます。自然災害や新型コロナウイルス感染症のような新たな脅威に対する備えも必要になってきます。そして、引き続き、国、府とも連携しながらコロナ禍を乗り切るべく対策を進めてまいります。
一方、現在進行形のプロジェクトとしては、「駅前新図書館の整備」、市民会館跡地を活用した「みんなでつくる未来の公園・(仮称)小松公園の整備」、そして市民の皆様が安心して医療が受けられる持続可能な医療体制への大改革プラン、地域医療連携体制強化構想(案)を実現する「新市立病院の整備」など、泉大津の可能性を飛躍させるための、大規模事業が同時に進んでいます。
アフターコロナや激変する社会情勢を念頭に、あらゆる分野において持続可能性を追求し、本市の将来を見据えた事業や改革を進め、次世代に責任を持ってつないでいく所存です。
市長2期目におきましても、引き続き「元気な泉大津」を実現するため、全身全霊で取り組んでまいります。
令和3年度の主な取組みについて
それでは、令和3年度の主要事業を、「第4次泉大津市総合計画」の基本計画に掲げます7つの政策分野に沿ってご説明いたします。
1点目「力を合わせて市民の笑顔があふれるまちづくり」についてでございます。
これまで本市では官民連携・市民共創の理念のもと様々な取組みを展開してきました。そのような中、2025年に開催予定の大阪・関西万博のテーマやコンセプトは、これまでの本市の取組み・考え方に合致するため、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が開始した、理想としたい未来社会を共に創り上げていくことをめざす「TEAM EXPO 2025」プログラムに共創パートナーとして登録しました。共創パートナーとして企業や団体と一緒に市をリビングラボとして実証実験を行い、社会課題解決につながる取組みを機動的かつ迅速に進めるために、取組みを支援する団体を募集し、支援に要した費用を補助する制度を設けます。
また、個々の能力を最大限に引き出す取組みの一つとして、女性職員が生き生きと働くことができ、自身の生活を大切にしながらも積極的なキャリアアップを後押しできる「泉大津市」となるため、まずは市役所がモデルケースとなる取組みに着手します。
2点目「学びあうひとづくり 彩りあるまちづくり」についてでございます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う学校の臨時休校期間中に、民間企業との協働によりオンライン学習支援の取組みを市独自で実施してきましたが、引き続き、児童生徒1人に1台配備されたタブレットを効果的に活用し、家庭学習の充実並びに学校における授業改善に努めます。
また、小学校に市独自で非常勤講師を配置し、きめ細かな学級運営を行うなど教育の質の向上や児童への学習・生活指導の充実に努めるとともに、新図書館と連携した学校図書館の充実や学校図書館を活用した授業づくりの推進を通して、児童生徒の言語能力の育成に努めます。
さらに、令和元年度より取り組んできた子どもたちの身体能力の向上や運動障がい・学習障がいの改善にもつながるビジョントレーニングに加え、バランスの良い体づくりと運動習慣の獲得を目的とする、スポーツ科学に基づいたトレーニングプログラムを子どもたちに実践するために教員向け研修会を実施し、先端教育の充実により、中長期的な人材育成や確保を図ります。
加えて、コミュニティスクールなど学校と地域の連携の拠点として各小中学校に地域交流ゾーンを整備する方針とあわせて、市内すべての教育施設のもつ役割を整理し効率的・効果的に配置するため、教育施設の適正配置について検討します。
そして、生徒や災害時の避難者の熱中症対策のため、小学校に続き中学校の体育館にガスを熱源とする自家発電装置付エアコンを整備するとともに、条南小学校校舎において長寿命化改良工事、また、条東小学校校舎及び小津中学校校舎において長寿命化改良工事の工事設計を実施します。
加えて、子どもたちの健全な体づくりのため、就学前施設や学校給食にオーガニック食材を導入するための調査研究や、小学校給食費の公会計化に向けた準備など、学校給食を取り巻く状況の変化に対応した取組みを実施します。
また、市民ニーズに対応し、さらなるサービスの向上を図るため、留守家庭児童会の延長保育を開始します。同時に、ICTを活用した学童保育業務支援システムを導入することで、職員の業務負担の軽減と保育の質の向上を図ります。
さらに、保存活用計画を策定した国史跡指定45周年を迎える池上曽根遺跡をはじめ、本市の文化財の魅力を広く情報発信します。
そして、いよいよ新図書館「シープラ」が、令和3年9月までにオープンします。「シープラ」には、たくさんの本があり、コミュニケーションがとれるスペースや飲食可能なスペース、ビジネスパーソンに役立つパソコンやデータベースがあり、たくさんのイベントやセミナーが開催されるなど、これまでの常識にとらわれず様々な使い方ができる図書館です。本市の魅力・情報の発信拠点として、たくさんの方に愛される図書館になるようしっかりと運営していきます。
3点目「誰もがすこやかにいきいきと暮らせるまちづくり」についてでございます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、生活に困窮する方などからの相談に対応するため、市民生活応援窓口の支援内容の充実を図り、社会福祉協議会との連携を強化します。
高齢者の介護予防につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に配慮しながら、通いの場等において、医療専門職等を活用し、健康づくりと介護予防を一体的に実施するとともに、自宅でできる介護予防の取組みの周知・啓発を行います。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や保育士の業務負担軽減を図るためICTを活用した保育業務支援システムの運用など、就学前施設の環境整備を進め、教育・保育環境の充実を図ります。
さらに、令和3年度から令和5年度までの3年間を計画期間とする「泉大津市第6期障がい福祉計画・第2期障がい児福祉計画」に基づき、今後のさらなる障がい者(児)福祉の増進、並びに障がいの有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域共生社会の実現を推進します。
加えて、発達に課題のある又は障がいのある児童とその家族に対し、発達段階に応じた切れ目ない支援を行うため、発達支援の中核となる児童発達支援センターの整備に着手します。
また、子どもたちが本来持つ身体能力の向上や高齢者の身体機能の維持・向上、健康寿命の延伸を目的に、引き続き「あしゆびプロジェクト」を展開してまいります。ウイルスから身を守る「免疫力」を高めるためには、「適度な運動」を継続することが有効とされています。コロナ禍の今だからこそ、本プロジェクトにおける持続可能な事業の取組みを進めることが重要であると考えております。あわせて、さらなる普及・定着を進めるため、これまで本プロジェクトに触れる機会がなかった高齢者や在宅児童へのアプローチを行い、プロジェクトの理解促進を図るとともに、令和2年度に引き続き、足と健康の関係性を明らかにするため、プロジェクト参画企業と連携した実証実験を行い、足の健康が身体全体の健康にどれだけ関係するか検証・分析を行います。
さらに、産後うつの予防や新生児への虐待予防等を図る観点から、産後2週間、産後1ヵ月の出産後間もない時期の産婦に対する健康診査に係る費用を助成することで、産後初期段階における母子に対する支援を強化します。
4点目「安全で心やすらぐまちづくり」についてでございます。
災害への備えに終わりはありません。民間企業との連携による避難訓練の実施など、一人ひとりの災害に対する備えや意識を高められるよう様々な取組みをこれまで行ってきました。
令和3年度は、「聞こえない、わからない」の解消に向け、防災行政無線の放送を個人のスマートフォンに配信できるシステムを導入し、市民への情報伝達体制の強化を図るとともに、市民通報、職員の現場確認に加え、AIリアルタイム危機管理情報サービスを導入し、災害情報を迅速かつ網羅的に把握することで、初動対応の強化を図ります。
また、災害時に円滑に給水活動を行うため、新たに車両一体型給水車を購入します。
さらに、住宅火災から高齢者の死傷者発生を防止するため、消防団や関係部局と連携した防火訪問を推進するとともに、市街地や狭隘地域でより迅速かつ効果的に消防活動を実施するため、小型水槽付消防ポンプ自動車を積載水量が増した車両に更新整備します。
5点目「コンパクトで居心地のよいまちづくり」についてでございます。
はじめに、都市公園の整備事業としてだけではなく、ヘルシーパーク(自分の身体は自分で整える)をテーマにまちの中心に位置しながらも豊かな自然を感じられ、まち全体の魅力向上につながる公園空間等の整備を行います。
また、防潮堤の改良により安全性と維持管理性の向上と、市民会館跡地周辺の利便性向上を図るため、小松町4号線の整備工事を行います。
さらに、「泉大津市第3次環境基本計画」を策定し、「ゼロカーボンシティ」をめざして、スマートフォンアプリでの「COOL CHOICE泉大津」を使った「地球温暖化におけるメカニズム」や「身近な対策」など、子どもから大人までわかりやすい内容の動画等を配信し啓発を図ります。
加えて、美化意識の高揚により、多くの市民に積極的に清掃活動へ関わってもらえるようにするため、市民・民間企業に対するごみ拾いアプリ「ピリカ」への登録促進やごみ拾いイベントのスポGOMI大会、ごみゼロ大作戦等を実施し、地域清掃活動の活性化を図るとともに、プラスチックごみ削減に向けて、マイボトル推奨の取組みとして給水スポットの設置や、プラごみの資源循環のひとつとしてペットボトルのリサイクルの取組み等、官民連携・市民共創でよりよい環境の実現に向けて取り組んでまいります。
6点目「誇れる・選ばれる・集えるまちづくり」についてでございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴ってマスク不足が全国的な課題となっている中で、「泉大津マスクプロジェクト」は、泉大津商工会議所との連携、地元企業や小売店の協力により、地場産業の強みを活かして、新しい技術・産業の可能性を見出し、また、消費喚起と生活支援の両輪による「レシート大作戦」も官民連携・市民共創の発想から生まれました。これらの取組みのように多様な主体が力を合わせれば、市民の皆様にとっての課題解決の選択肢を増やすことができます。
課題解決に向けて令和3年度は、「あしゆびプロジェクト」の一環として、本プロジェクト参画企業と連携し、市民モニター約200名によるオーダーメイドインソールの使用前・使用後の足の計測結果から足の健康と身体全体の健康の関係性を検証するとともに、官民連携・市民共創の具現化をめざしたリビングラボについての調査研究にも取り組みます。
また、港湾エリア内の公園や緑地といった資源を活用し、にぎわい創出等の活性化事業を行う団体等を支援するための制度を創設します。
7点目「健全な行財政と都市経営に基づく市民サービス」についてでございます。
はじめに、市民サービスの向上や新型コロナウイルス感染症の拡大防止、業務効率化の推進のため、オンライン申請サービスの提供を開始するとともに、本市の業務上の課題である「入力」作業の効率化をさらに推進するため、RPAによる自動処理を行う業務を拡大し、職員が企画立案や市民への直接的なサービスに注力できる体制の構築をめざします。
また、「新しい生活様式」に対応するためLGWAN環境に対応したビジネスチャットツールを本格導入し、業務の効率化と市民サービスの向上を推進します。
さらに、若い世代がまちづくりに興味を持ち、考え、積極的に参画できる機会を創出するため、学生が主体となって運営を行う「いずみおおつ若者会議」を令和2年度に立ち上げました。今後はこの取組みをさらに推進し、将来有望な人材の育成・獲得につなげるとともに、変化の激しい社会情勢に対応するため、優秀な人材の獲得と育成のあり方を常に考え、実践し、強靭な組織を構築します。
加えて、老朽化が著しい市庁舎の空調機器の更新に向けた設計委託業務を行います。
最後に、市立病院についてです。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、我が国の医療態勢を根底から揺るがす深刻な事態を招いており、全国の医療現場が新たな感染症に直面し対峙している中で、各医療機関は収益の悪化により経営存続も危ぶまれるような甚大な影響を被っています。
市民の生命と財産を守るという地方自治体の最大の責務を果たすには、現在ある資源を最大限に活かしながら、将来の安心・安全につながる手立てを講じていかなければなりません。
令和元年12月に示した「地域医療連携体制強化構想(案)」は、公立病院改革の趣旨に則って、地域の中で公立病院が担う役割と将来の医療需要の予測を踏まえながら、働き方改革を見据えた医師の集約化にも資する機能の統合再編を、市立病院と地理的にも近接する民間病院との連携のもとにめざすものです。
コロナ禍に苦しむ今だからこそ、近い将来に発生が予想される南海トラフ巨大地震にも備える形で、救急・災害医療、感染症対策を強化し救える命を救うための医療提供体制の構築に向けた歩みを着実に進めてまいります。
令和3年度当初予算案について
令和3年度当初予算案につきましては、
○一般会計 317億8,805万円(対前年度比4.9%増)
○特別会計(国民健康保険事業特別会計 外3特別会計)
152億6,136万円(対前年度比0.9%増)
○水道事業会計 28億6,598万円(対前年度比13.7%増)
○下水道事業会計 56億3,630万円(対前年度比4.9%増)
○病院事業会計 68億6,780万円(対前年度比1.6%減)
○全会計合計 624億1,949万円(対前年度比3.5%増)
でございます。
以上が市長2期目の所信表明及び令和3年度に向けての私の市政運営の基本方針ですが、結びに あたりまして、昨年同様に市民の皆様に「3つのお願い」があります。それは、 あいさつ、ごみ拾い、みどりを増やす運動です。 「人と人のつながりを大切にする」「まちを綺麗にする」「みどりを育む」まちづくりを基本とし、市民の皆様一人ひとりとともに、小さなアクションを積み重ねていきたく思います。一人の力は微力であっても無力ではない。「一燈照隅 万燈照国」という言葉のように、一人ひとりが持つ力を信じています。自然との調和、お互い様、おかげ様、利他の心など、日本が古来より紡いできた和の心を、職員、市民の皆様と大切にしながら、ともにコロナ禍を乗り越え、泉大津市を前に進めていくために全力を尽くす所存です。議員各位並びに市民の皆様におかれましては、格段のご支援・ご協力をいただきますよう、心からお願い申し上げまして、私の所信表明と、令和3年度の取組み及び当初予算案についての説明といたします。
令和3年2月24日
泉大津市長 南出 賢一
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更新日:2023年08月01日