○泉大津市男女共同参画のまちづくりを推進する条例
平成19年12月14日
条例第27号
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会の動きと連動して進められ、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付けた男女共同参画社会基本法が制定された。
泉大津市においても、「人が好きです。このまちが好きです。わたしも参加します。にんじん(人参)プラン」と市民が名付けた行動計画に基づき、様々な取組を進めてきたが、現実の社会では、性別による固定的役割分担意識及びこれに基づく社会慣行等が依然として残され、多くの市民が男女間の不平等を感じている。
少子高齢化及び高度情報化が急速に進展し、社会経済環境が大きく変化する中、豊かで活力のある泉大津市を築くためには、男女が支え合い、社会のあらゆる分野に参画し、喜びも責任も分かち合う男女共同参画社会を実現することが重要である。
ここに私たちは、男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、男女共同参画への取組を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、本市における男女共同参画の推進に関し基本理念を定め、市、市民(本市の区域内に通勤し、又は通学する者を含む。以下同じ。)、事業者(本市の区域内において事業活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。以下同じ。)及び教育関係者等(学校教育、家庭教育、職場教育、社会教育その他のあらゆる分野の教育に携わる者をいう。以下同じ。)の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本的な事項を定めることにより、それぞれの連携及び協力の下に当該施策を総合的かつ計画的に実施し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的格差是正措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を是正するため必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) セクシュアル・ハラスメント 職場、学校、地域等の社会的関係において、相手の意に反した性的な言動をすることによりその者の就業環境等を害し、又は性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。
(4) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は配偶者であった者その他これに準ずる親しい関係にある者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進しなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が直接的又は間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、女性に対する暴力が根絶されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 男女の性別にとどまらず、性同一性障害を有する人その他のあらゆる人の人権についても配慮されること。
(3) 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担意識等を反映して、男女の社会における活動の自由な選択に対して、できる限り影響を及ぼすことのないよう配慮されること。
(4) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(5) 男女が、互いの身体的特徴及び心身の変化について理解を深め、妊娠、出産等に関する事項について個人の尊厳が重んじられ、生涯にわたり健康な生活を営むことができるよう配慮されること。
(6) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、共に家事、育児、介護等の家庭生活における活動について協力して担い、かつ、職場、学校、地域その他の社会生活における活動に参画することができるように配慮されること。
(7) 男女共同参画の推進に向けた取組が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、その動向に留意すること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を主要な政策として位置付け、基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的格差是正措置を含む。以下「男女共同参画施策」という。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画の推進に当たり、国及び他の地方公共団体と連携を図るとともに、市民、事業者及び教育関係者等(以下「市民等」という。)と協働するものとする。
3 市は、自ら率先して男女共同参画の推進に努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に基づき、社会のあらゆる分野において、積極的に男女共同参画を推進するとともに、男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業又は活動を行うに当たっては、基本理念に基づき、職場における活動に参画する機会の確保、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動を両立して行うことができる職場環境の整備等により、男女共同参画の推進に努めるとともに、男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。
(教育関係者等の責務)
第7条 教育関係者等は、基本理念に基づき、男女共同参画の推進を図るための教育を行うとともに、男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。
(積極的格差是正措置)
第8条 市は、男女共同参画の推進のため、市民及び事業者と協力して積極的格差是正措置を講じ、男女共同参画社会の実現に努めるものとする。
(性別による差別的取扱い等の禁止)
第9条 何人も、社会のあらゆる分野において、直接的又は間接的であるかを問わず、性別によるあらゆる差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、職場、学校、地域その他のあらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、個人の尊厳を踏みにじるドメスティック・バイオレンス及びこれと相関する児童虐待を行ってはならない。
(公衆に表示する情報への配慮)
第10条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による差別的取扱い又は異性に対する暴力的行為を助長する表現その他の男女共同参画の推進を阻害するおそれがある表現を行わないよう配慮しなければならない。
(男女共同参画推進計画の策定等)
第11条 市は、男女共同参画施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画推進計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、男女共同参画推進計画の策定に当たっては、あらかじめ、泉大津市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民等の意見が反映されるよう適切な措置を講ずるものとする。
3 市長は、男女共同参画推進計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、男女共同参画推進計画の変更について準用する。
5 市長は、毎年度、男女共同参画施策の実施状況等について報告書を作成し、これを公表するものとする。
(附属機関等における委員の構成)
第12条 市は、その設置する附属機関その他これに準ずるものの委員その他の構成員の任命又は委嘱に当たっては、男女の数の均衡を図るよう努めるものとする。
(施策の策定に当たっての配慮)
第13条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(市民等の理解を深めるための措置)
第14条 市は、男女共同参画に関する市民等の理解を深めるため、広報活動、意識の啓発、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、教育及び学習を通じて市民が男女共同参画に関する理解を深めることができるよう必要な措置を講ずるものとする。
(調査研究)
第15条 市は、男女共同参画施策の策定に必要な事項について調査研究を行うとともに、その成果を公表し、男女共同参画施策に反映させるものとする。
(苦情等及び相談の申出)
第16条 市民等は、男女共同参画施策又は市が実施する施策のうち男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められるものについて、苦情又は意見(以下「苦情等」という。)があるときは、その旨を市長に申し出ることができる。
2 市長は、前項の規定による申出を受けたときは、迅速かつ適切に処理するものとする。この場合において、市長は、苦情等の処理を行うに当たり必要があると認めるときは、泉大津市男女共同参画審議会の意見を聴くことができる。
3 市民等は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因により人権が侵害されたとき又はそのおそれがあるときは、市長に相談することができる。
4 市長は、前項の規定による相談を受けたときは、関係機関と連携し、迅速かつ適切に処理するものとする。
(推進体制の整備)
第17条 市は、男女共同参画施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制の整備に努めるものとする。
(拠点施設の整備)
第18条 市は、男女共同参画社会の実現に向けた施策を実施するとともに、市民等による男女共同参画の取組を支援するため、総合的な拠点施設の整備及び充実に努めるものとする。
(男女共同参画審議会)
第19条 本市に、泉大津市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は次に掲げる事項を所掌する。
(1) 男女共同参画推進計画の策定に関し、第11条第2項の規定による市長の求めに応じて意見を述べること。
(2) 苦情等の申出について、第16条第2項の規定による市長の求めに応じて意見を述べること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長の求めに応じて男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議し、意見を述べること。
3 審議会は、委員10名以内で組織する。この場合において、男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。
4 委員は、学識経験のある者、公募に応じた者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
5 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。
(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年泉大津市条例第15号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略